2017 Fiscal Year Research-status Report
シャドウグラフ像を用いた3次元超音波音場の超高速計測手法の開発
Project/Area Number |
16K12906
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉澤 晋 東北大学, 工学研究科, 准教授 (30455802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅村 晋一郎 東北大学, 医工学研究科, 教授 (20402787)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 医用超音波 / 音場測定 / 光学的計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 非軸対称の3次元音場計測のための実験系の構築:3次元音場を光学的に測定するためには,光学系か超音波発生装置を回転させて様々な方向から撮像する必要がある.光学系回転方式は,超音波発生装置が取り外せないような超音波治療器にも適応できるという汎用性があるが,測定システムが大型化するという欠点がある.そこで,本研究では,超音波トランスデューサを回転ステージに取り付けた,光学系固定の測定システムとした.レーザ照射と超音波照射は任意波形発生装置によって同期させ,カメラ撮像およびステージ回転をPCから制御することで,3次元光学データを自動取得するシステムを構築することができた. 2. 3次元空間での光伝播数値計算コードの開発:撮像された光学像から,音場によって引き起こされた光の位相変化を算出するために,光伝播数値計算コードの開発を行った.光の波長は医用超音波の波長に比べて1000分の1程度であるため,光の分解能に合わせて行う数値計算は計算負荷が高すぎて現実的ではない.そのため,本研究では,超音波波長オーダよりも十分に細かい空間変調は考慮しないことで計算量の低減を試みた.その結果,音場によって大きく変わるものの,数十分から数時間程度で光の伝播による輝度変調の計算が可能となった. 3. 中強度な3次元音場の計測:光伝播数値計算コードを利用して,中強度超音波の計測を試みた.しかしながら,中強度超音波の光伝播計算による光位相変調の算出が収束しなかったため,低強度超音波で従来測定可能であった条件よりも光伝播距離が長い条件での位相算出を試みた.その結果,伝播距離を2倍程度に長くした条件であっても従来と同程度の誤差に収まることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度計画のうち,(1)の実験系構築においては,3次元音場を光学的に測定するシステムのPC制御が達成できている.これにより,撮像画像の加算平均枚数によって変化するが,3次元データの撮像時間が数分から数十分程度で行えるようになった. (2)の光伝播計算については,計測時間と同オーダの時間で位相算出が行えるコード開発ができた.(3)の光伝播計算を用いた音場計測では,位相算出が収束しない条件が見つかるなどの課題もあったが,従来では算出できなかった条件でも同程度の誤差で算出可能となることを示すことができた.より高強度の超音波音場計測はさらに位相算出の条件が厳しくなると予想されたため,これらと併行して光位相コントラスト法と音響ホログラフィ数値計算を用いた音場測定手法の開発も進めた.したがって,全体としてはおおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
実験系の構築については,当初の計画通り,診断用超音波プローブと治療用超音波トランスデューサに対応可能な治具等をそれぞれ用意し,どちらの音場も自動データ取得が行えるように進める.光伝播数値計算コードについては,引き続き計算時間の短縮について検討を行うとともに,必要に応じて収束手法の検討も行う.一方で,10 MPaを超えるような高強度な超音波音場の測定については,光位相コントラスト法の測定データを,音響ホログラフィ数値計算の入力データとして用いて超音波発生素子面での音場再構成を行い,それを音響出力に応じてスケーリングして再放射することで評価する手法開発も行う.この手法は,光学的測定部分をハイドロフォン走査測定で行う手法がすでに研究されており,これを光学的測定で置き換えることで,高強度音場を直接測定する必要なく高強度超音波音場の評価が可能となる.したがって,高強度音場の直接測定は実績がないものの,感度の高い測定が可能な光位相コントラスト法を用いることができる.
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