2016 Fiscal Year Research-status Report
光駆動分子結晶アクチュエータを用いた新方式カテーテルの作製
Project/Area Number |
16K12918
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小島 秀子 早稲田大学, ナノ・ライフ創新研究機構, 客員上級研究員(研究院客員教授) (20304644)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 分子機械 / 医療・福祉 / 分子性固体 |
Outline of Annual Research Achievements |
現代医療において内視鏡・カテーテルは重要な検査・治療医療機器となっている。外科手術を要しないカテーテル治療が増えるに連れて、ワイヤーガイド式に替わるアクチュエータを用いた能動カテーテルの需要が高まっている。現在、アクチュエータとして形状記憶合金コイルが用いられているが、時間応答性、血管内での熱発生などの問題がある。 フォクロミック結晶に光を当てると屈曲するアゾベンゼン、サリチリデンアニリンなどのフォトメカニカル結晶を数年前から開発してきた。本研究においては、フォトメカニカル結晶を光駆動アクチュエータに用いた、光で動く、新方式の内視鏡・能動カテーテルを作製する。実現すれば、操作が簡単迅速で、安価な使い捨てタイプの内視鏡、カテーテルが可能となる。 本初年度は、フォトメカニカル結晶材料を光駆動アクチュエータとして用いたカテーテルを作製するための前準備として、(1)結晶の機械的強度の測定、(2)結晶の光屈曲における耐久性のテストを行った。その結果、フォトメカニカル結晶の機械的強度、耐久性が確認され、光駆動アクチュエータとしての適用可能であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フォトメカニカル結晶材料を光駆動アクチュエータとして用いたカテーテルを作製するための前準備として次の検討を行った。 (1)結晶の機械的強度 フォトメカニカル結晶材料を内視鏡・カテーテルに利用するには、結晶の機械的強度が要求される。これまで有機結晶のヤング率、応力などの機械的特性はあまり測定されておらず、データがほとんど見当たらないため、実際に測定した結果、まずまずの機械的強度があることが確認された。 (2)結晶の光屈曲における耐久性 実用化に当たっては、フォトメカニカル結晶材料の耐久性は最も重要なファクターとなるため、繰り返し光屈曲を測定した結果、耐久性が確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度からは前年度の研究を継続しつつ、(3)結晶のコーティングの検討、(4)カテーテル駆動部の作製と性能の評価を行う。 (3)結晶のコーティング 有機化合物からできたフォトメカニカル結晶は、有機溶媒には溶け易いが、水には溶解し難いと考えられる。しかし、体内は水環境のため、結晶表面が劣化するのに加えて、溶解した化合物が健康に害を及ぼす恐れもあるため、結晶表面のコーティングを検討する。 (4)カテーテル駆動部の作製と性能試験 これまでの検討結果を評価し、優れた性能を持つフォトメカニカル結晶を選定して、内視鏡・カテーテルの先端に取り付ける光駆動結晶アクチュエータを試作する。光ファイバーにより結晶に光照射する。今回の光屈曲性結晶を光駆動アクチュエータに用いたカテーテルは全く初めての試みで、プロトタイプというべきものである。
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Causes of Carryover |
光駆動結晶アクチュエータの試作は29年度行う予定のため、実際に試作した時点で、これを作動させるための小型光照射装置の機種を選定する方が良いと判断し、28年度は購入しなかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度に光駆動結晶アクチュエータを試作し、これを作動させるのに適した小型光照射装置の機種を選定して購入する予定である。
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