2017 Fiscal Year Research-status Report
電気インピーダンス法を用いた骨格筋緊張度の定量的な評価方法の開発
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16K12928
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
関根 克尚 金沢大学, 保健学系, 准教授 (10163106)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 骨格筋 / インピーダンス / アドミッタンス / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
骨格筋の電気インピーダンス(Z)・アドミッタンス(Y)は、骨格筋の以下の組織学的特徴を反映していると考えられている:(1)細長い細胞の束になっている。(2)細胞膜が陥入して形成され、細胞長軸と垂直な面に広がる細管の網(T管系)をもつ。これらの構造は数ナノメートルから数百マイクロメートルの大きさを持つ。平成28年度には、上記(1),(2)を実際の計測で想定される数センチメートルから数十センチメートルの大きさを持つ3次元のモデルの中に反映させ、汎用PCで実行できる差分法計算の技法を開発した。 平成29年度には、平成28年度に開発した計算技法を用いて、微小電極を等間隔に整列させ、電極間隔に比べて筋組織を十分に大きくしたモデル(モデルA)と筋萎縮性側索硬化症(ALS)モデルマウスの実験研究を模したモデル(モデルB)について、四端子法による生体インピーダンス計測を模したミュレーションを実行し、文献の実測結果と比較した。 モデルAとBともに、筋線維と平行方向に電極を整列させた場合(L方向)、これまでの計測では範囲外であった10Hzから1kHzの周波数範囲で、骨格筋細胞が細長い筒であることに起因する特徴的なY, Zの周波数変化が現れた。また、これまでの計測の低周波限界にあたる1kHzにおけるレジスタンス(R)について電極整列の向きの影響を調べると、モデルAではL方向のRが筋線維と直角方向に電極を整列させた場合(T方向)のRよりも大きくなり、モデルBではL方向のRがT方向のRより小さくなった。 モデルBを用いたシミュレーションで、ALSによって骨格筋細胞が細くなると考えたモデルを用いて、実測結果を説明できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実際の計測を模したシミュレーションを実行し、実測されたインピーダンスに対するALSの影響がシミュレーションによって合理的に説明できることを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究によって、電極の形状や筋組織の大きさによって計測される骨格筋のインピーダンスが大幅に変化することが示された。このことは、計測対象となる筋組織の大きさの影響を受けにくい計測プローブの設計や、そのプローブによって計測される筋組織の範囲の解明が必要であることを示している。シミュレーションを活用して、計測プローブの設計と計測範囲の解明をすすめる。さらにそれらに基づいてプローブを作成し、骨格筋模型と実際の骨格筋の計測を行い、計測結果の解析法開発を進める。
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Causes of Carryover |
シミュレーションによって、適切な計測用プローブを設計しておくことが非常時重要であることが示された。これにもとづいて、プローブ試作を取りやめたため残額が生じた。計測用プローブ設計が完了したのち、プローブ作成、骨格筋模型作成等に使用する。
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