2017 Fiscal Year Research-status Report
ドライブ・レコーダーを用いた高次脳機能障害者の実車運転評価法の開発
Project/Area Number |
16K12930
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 恵美 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (00314021)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ドライブレコーダー / 高次脳機能障害 / 評価 / 路上実車運転 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高次脳機能障害の方を対象にドライブレコーダー(DR)を搭載した自動車で路上運転を実施し、DRの記録映像やイベント(急加速や急ブレーキ・急ハンドルなど)記録を基に実車運転を評価し、運転の可否判断につながる実車運転評価の開発とその信頼性・妥当性を検証することである。 29年度は、研究協力機関(リハビリテーションセンター)において研究協力者と共に取り込み基準を満たす高次脳機能障害者に研究協力依頼を行い20名の参加協力者を得た。また協力機関である自動車教習所にて指導員を対象に研究協力依頼を実施し20名の参加協力者を得た。研究者が対象者に研究概要を説明し同意書を提出した対象者に対し、路上での実車運転を実施した。対象者は研究協力機関(自動車教習所)の協力の下、安全を確保するために教習指導員が同乗し補助ブレーキ付きの教習車両にて、昨年度に決定した一般路上運転コース(信号のある右左折、信号のない右左折、車線変更、一時停止含む)を走行した。その際研究者は本研究の主要な情報である、DRによる運転時の危険イベント映像とDRにより自動的に算出される運転総合得点(ブレーキ・スムースさ・停止・ハンドル・右左折)も取得した。 次に、取得した実車運転映像と危険イベントを基に、Driving Assessment Scale(Novak, 2006)を参考にして、高次脳機能障害者の運転の特徴を分析した。その結果、評価表の開発につながる以下の貴重な情報を得た。高次脳機能障害による路上運転特徴として前後車両や信号機などへの注意不足と気づきの遅さ・判断力の低下・右左折時の視覚確認の不十分さを認め、車線変更やスムースな減速(急ブレーキ)で減点が認められた。運転操作技能としては対象者らは病前に自動車運転をしていたこともあり、大きな問題は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
29年度は高次脳機能障害を有する対象者のリクルートがスムースに進み高次脳機能障害者20名及び健常者20名の実車運転映像と車両挙動情報を取得することができた。これ等の情報に基づき対象者の運転特徴の検討を開始し、研究協力者らと随時学会等で発表している。現在運転特徴の分析を行いそれに基づき評価表を作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、これまでに取得したドライブレコーダによる実車運転の映像データと得点結果を基に高次脳機能障害の運転特徴を詳細に考察し実車運転評価表の完成に努める。健常者の実車運転の特徴と高次脳機能障害者の運転特徴を比較分析することにより実車運転評価表の精緻化を図る。作成した評価表を用いて多数の研究協力者により運転映像を評価し評価表の信頼性の検討を行うために定期的(月に1回)に研究会を開催する。研究総括として高次脳機能障害者の実車運転の特徴と実車運転評価表の信頼性や妥当性について成果発表を行う。
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Causes of Carryover |
29年度は、対象者(高次脳機能障害者20名と健常者20名)のリクルート活動とドライブレコーダーを用いた路上実車運転の映像記録と車両挙動のデータを取得することが主な研究活動となった。取得した40名の実車運転情報を研究者が分析を開始したところであり、研究協力者への評価・分析のための謝金が支払われなかった。次年度は、複数の研究協力者らとの評価分析を実施し実車運転に関する評価表の作成や信頼性を検証するため、協力者謝金として使用する予定である。
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