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2017 Fiscal Year Research-status Report

がん悪液質に対する運動療法プログラムの開発

Research Project

Project/Area Number 16K12931
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

杉浦 英志  名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (50303615)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 松井 康素  国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, ロコモフレイルセンター ロコモフレイル診療部, センター長 兼 診療部長 (50501623)
Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywordsがんリハビリテーション / 悪液質 / サルコペニア / 運動療法
Outline of Annual Research Achievements

研究協力病院(B病院)において、消化器がん手術を施行し,術前・退院時ともにADLが自立であった周術期患者34例をエントリーした。内訳は男性23例,女性11例、手術時年齢は平均70.7歳であり、原発巣は大腸癌23例、胃癌10例、肝癌1例であった。術式は開腹術20例、腹腔鏡視下術14例であった。縫合不全、麻痺性イレウス、胆汁瘻,膵液瘻など何らかの合併症を生じた症例は12例(35%)であった。合併症あり群と合併症なし群において、年齢、身長、体重、術前PS、手術時間、出血量や握力、膝伸展筋力、下腿周囲長、10m歩行速度、TUG等の身体機能及び在院日数、絶食日数、リハ単位数について、両群の比較検討を行った。出血量は合併症あり群で270ml、合併症なし群で193mlであったが、統計学的な有意差はなかった。一方、在院日数、絶食日数、リハ単位数はいずれも有意差を認め、合併症あり群では在院日数、絶食日数が長く、リハ単位数は少ない傾向を示した。また、身体機能については入院中の運動療法介入により退院時のADLは自立していたが、両群とも術前の身体機能までには回復していなかった。特に合併症あり群では、体重、握力、膝伸展筋力、WBI(体重支持指数)が有意に低下していた。さらに、合併症あり群ではTUGや6MWD等のパフォーマンスも低下していた。合併症を有した症例では手術前と同程度の食事が摂取可能となるまで時間を要することから、手術後に体重が減少しやすく廃用性の筋力低下や体力低下が起こりやすいと考えられた。そのため入院中の活動量管理とともに絶食期間中の運動療法の内容を再考する必要性が示唆された。また、合併症を発症した症例においては退院後のフォローが重要であると考えられた。今後、症例数を増やしていき、がんリハビリ患者の縦断的な解析をさらに進めていく予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

症例数の集積がまだ不十分ではあるが、周術期患者における悪液質と身体機能やADL評価との関係を示すことができた。また、入院中の積極的な運動プログラムの介入研究を行っており、おおむね順調に進展していると思われる。

Strategy for Future Research Activity

平成29年度に得られた結果を基にして以下の研究を行う。1)がん化学療法患者における運動療法効果の検証;白血病、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫などの血液疾患に対して化学療法施行の患者を対象とする。除外基準としては骨髄抑制のために感染のリスクが高く運動療法が不適切と判断された場合とする。周術期リハビリと同様に運動療法プログラム介入による有効性を検討する。評価項目は運動療法開始後6ヶ月までの間の骨髄抑制を含めた回復率、及び横断的調査で施行した各項目(筋力、筋量、バランス能力テスト、抑うつテスト、栄養状態など)について調査を行なう。サブ解析では白血病、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫などの血液疾患についてがん腫別に検討を行なう。
2)がん骨転移患者に対するリハビリの有効性についての検討;がんの骨転移を生じている患者を対象とする。骨転移患者では荷重による病的骨折のリスクがあるために荷重負荷運動は行なわず、非荷重運動とする。除外基準としては主治医により全身状態悪化のため運動療法が不適切と判断された場合やMilelsスコアにおいて9点以上の切迫骨折リスク群や疼痛のために運動療法を行なうことが困難な症例とする。周術期リハビリと同様に運動療法プログラム介入による有効性を検討する。評価項目は運動療法開始後6ヶ月までの間の骨有害事象発生率及び運動検査を除いた項目について検討する。

Causes of Carryover

H29年度においてまだ十分な結果が得られておらず、当初予定していた学会発表に伴う旅費や学会費が予想よりも低く計上されたため、残額を生じた。
H30年度においては十分な調査結果をもとに学会発表や研究成果の投稿を積極的に行うために残額を使用する計画である。

  • Research Products

    (5 results)

All 2018 2017

All Presentation (5 results)

  • [Presentation] がん患者におけるCT画像を用いた簡易的な筋肉量測定方法の検討2018

    • Author(s)
      松永直道,黒木優子,林杏莉,杉浦英志
    • Organizer
      第7回日本がんリハビリテーション研究会
  • [Presentation] 術後消化器がん患者の退院前における倦怠感に関連する要因の多元的検討2018

    • Author(s)
      柳澤卓也,帆澪子,右高沙妃,杉浦英志,板津慶太
    • Organizer
      第7回日本がんリハビリテーション研究会
  • [Presentation] 消化器がん患者の術式による術前から術後3か月までの回復過程相違についての検討2018

    • Author(s)
      帆澪子,柳澤卓也,右高沙妃,杉浦英志,板津慶太
    • Organizer
      第7回日本がんリハビリテーション研究会
  • [Presentation] 消化器がん術後合併症の有無が身体機能に与える影響2018

    • Author(s)
      右高沙妃,柳澤卓也,帆澪子,杉浦英志,板津慶太
    • Organizer
      第7回日本がんリハビリテーション研究会
  • [Presentation] 大腿骨病的骨折術後の短期生命予後症例についての検討2017

    • Author(s)
      杉浦英志,吉田雅博,門野泉,岡田貴士,西田佳弘
    • Organizer
      第54回日本リハビリテーション医学会学術集会

URL: 

Published: 2018-12-17  

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