2016 Fiscal Year Research-status Report
物理的刺激を活用した骨折に対する新たな包括的治療の開発
Project/Area Number |
16K12933
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森山 英樹 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (10438111)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 物理的刺激 / 骨折 / 骨粗鬆症 / 超音波療法 / 電気刺激療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨折の治療は、骨の自然治癒を待つことで行われる。しかし高齢者の骨粗鬆症に起因する骨折には、待つだけではない治療が求められる。本研究では、超音波と電気刺激を用いて、骨形成を促進する物理的刺激を加えることで、骨折の予防も含めた新しい包括的な治療法を開発することを目的とする。 本年度は、当初計画通り、新鮮骨折と骨粗鬆症に対する超音波療法の最も治癒効果のある至適な強度を検討した。ラットの大腿骨を対象として、ドリルを用いて骨欠損部を形成したモデルで、超音波療法の至適な強度のスクリーニングを行った。その後、ラット大腿骨に骨幹部閉鎖性骨折を作製し、スクリーニングの結果をマイクロCTと組織学的分析により検証した。その結果、臨床で新鮮骨折の治癒促進に用いられている低出力超音波パルス(Low Intensity Pulsed Ultrasound:LIPUS)よりも高強度の超音波がより効率的に骨折の治癒を促進することが明らかになった。 骨粗鬆症については、先ず本研究に適した卵巣摘除後の骨粗鬆症モデルの確立から始めた。マイクロCTと組織学的分析の結果、卵巣摘除4週後が最も適していることがわかったため、このモデルを対象に、超音波療法の至適な強度を検討した。その結果、超音波療法は強度依存的に骨密度の改善に効果があるものの、熱の発生を抑えられるパルス波であっても、ある強度以上では、照射後に実験動物の異常行動が観察され、組織学的にも骨髄に変性が認められた。これらを踏まえ、骨粗鬆症の改善効果のある超音波療法の強度が明らかになったとともに、超音波療法の新たな適用の可能性を開拓できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り、新鮮骨折と骨粗鬆症に対する超音波療法の最も治癒効果のある至適な強度を明らかにできた。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、当初計画通り、新鮮骨折と骨粗鬆症に対する電気刺激療法の最も治癒効果のある至適な強度を検討するとともに、前年度に得られた結果を取りまとめ学会発表を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
年度末に予定していた実験に係る消耗品を購入するための予算として確保していたが、急遽、実験メンバーのスケジュールが変更になり、実験を行うことができなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度早々に、予定していた実験を行う予定であり、その予算として使用する。
|
-
[Presentation] 超音波療法による新鮮骨折の治療促進効果の検討2017
Author(s)
鈴木崚太, 崎谷直義, 高野祥子, 島谷俊亮, 小笠原慎, 岩澤裕之, 野村将人, 脇本祥夫, 小原雄太, 水野絵里子, 森山英樹
Organizer
第52回日本理学療法学術大会
-