2016 Fiscal Year Research-status Report
超音波照射による筋肥大・萎縮抑制を促す機能性栄養素の筋内運搬システムの構築
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16K12934
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤野 英己 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (20278998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 昭彦 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (90184548)
近藤 浩代 名古屋女子大学, 家政学部, 准教授 (50333183)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超音波 / 機能性栄養 / 輸送 / 骨格筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では超音波照射や機能性栄養素による筋肥大や萎縮抑制を促す作用を検証することを目的とした。筋芽細胞C2C12を使用して、リポポリサッカライド(LPS)による筋萎縮モデルでパルス超音波照射による筋萎縮抑制の効果について検証した。パルス超音波照射はインテグリンを介して、p38MAPKリン酸化を抑制し、Atrogin-1やTNFaの発現を減少させ、その結果、筋萎縮できるのではないかと仮説をたてた。そこで、当該年度は筋芽細胞C2C12を分化させた筋管細胞にLPS添加をさせた萎縮モデルを用いて、パルス超音波刺激の効果を検証した。先ず、超音波照射の強度を設定するための実験を実施し、20%パルスモードで0.5W/cm2の強度条件時に効果が高いことが認められ、本条件を超音波照射条件にした。次にLPSによる筋萎縮モデルで超音波照射の効果と作用機序について検討をした。超音波照射群では筋管細胞径、筋原線維タンパク質量、ミオシン重鎖タンパク質量の減少が減衰された。また、超音波照射ではインテグリン/focal adhesion kinase (FAK) シグナル(FAKリン酸化の増加)の増加が観察され、P38MAPKリン酸化が減少し、TNFaも低下した。さらに骨格筋特有のユビキチンリガーゼであるAtrogin-1の増加を減衰させた。一方、超音波照射はIRAK4のリン酸化に影響を与えなかった。これらの研究結果より超音波照射はP38MAPKの活性化を抑制することで、骨格筋萎縮を予防することが可能であると考えられる。超音波照射はカヘキシー治療の補助手段として用いることが可能であると結論づけられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は主にパルス超音波照射により筋管細胞の萎縮予防が可能かどうかについて検証した。その結果、パルス超音波照射による骨格筋の萎縮予防効果を観察することができた。また、作用機序についても検証できた。これらの成果より本研究の目的である筋萎縮予防という観点では目的を達成できたと考える。一方、機能性栄養に関する研究は、平成28年度に実施できなかったために、平成29年度に検討し、機能性栄養の取り込みを超音波で促進できるか検証をする。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度においては、機能的栄養素による筋管細胞の筋萎縮の予防効果を検討する。さらにパルス超音波照射による細胞内への取り込み促進の検証を進めていく計画である。
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Causes of Carryover |
平成28年度は超音波照射に関連した実験を中心に実施した。一方、機能的栄養素に関連する実験の準備を行ったが、機能性栄養素に関連した実験を平成29年度に中心に実施するように計画の変更をした。そのために機能性栄養素の実験に関わる予算を平成29年度分に移行した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度に機能性栄養素に関する実験や超音波照射による促進効果に関する実験を実施するために、平成29年度配分とあわせて使用する計画である。
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Research Products
(18 results)