2016 Fiscal Year Research-status Report
小脳変性マウスにリハ運動とD型アミノ酸投与で抗運動失調効果を示す機序の研究
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16K12941
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
別府 英博 (別府秀彦) 藤田保健衛生大学, 藤田記念七栗研究所, 准教授 (30142582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新里 昌功 藤田保健衛生大学, 保健学研究科, 准教授 (80148288)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 小脳変性 / B6-wob/tマウス / プルキンエ細胞 / 脳栄養 / D型アミノ酸 / D-セリン / 強制運動 / 環境エンリッチ飼育 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究の目的は、小脳変性マウス小脳内のD型アミノ酸濃度を高める脳栄養介入と、我々が開発した強制運動装置および環境エンリッチメント飼育で運動訓練の介入を行い、運動失調の改善を目指す研究である。 小脳変性症は、運動失調を呈し、小脳プルキンエ細胞とつながる経路に変性病変をもつ神経変性疾患である。申請者は、これに類似する自然発症の小脳変性マウスB6-wob/tを管理・維持している。先行研究報告において、小脳薬剤変性マウスや遺伝子改変マウスを用いD型セリン静脈投与による抗運動失調効果(西川ら)、D型セリンの小脳アストロサイトおよびシナプスでの役割(柚崎ら)が報告されている。我々はこれらの先行研究を参考に、小脳変性マウスB6-wob/tマウスに応用し運動失調の改善につながるかを明らかにすることとした。 本年度までの研究は、当該マウスにD型セリン粉末を0.5%から3%に溶解した飲料水を、自由摂取させた。その時の平均飲水量は3.7mL/日/匹であった。一方D型セリン飲水中に、回転ホイールを用いて強制歩行訓練を負荷させた。対照群は飲料水のみとした。強制歩行訓練は、50分の負荷後10分間の休息を設け連続3回行った。その1か月ごとに1,2回協調運動能力をRota-rod試験で評価し、3か月間まで行った。その結果、D型セリン摂取群は訓練開始前、非摂取群に対し、ロッド上の歩行時間が有意に高かった。よって運動能力の向上が見られた。一方、休薬期間では能力が低下し再投与で改善した。以上の結果から当該マウスにおいてD型セリン摂取・歩行訓練介入は、運動失調の改善が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究対象実験動物であるB6-wob/tマウスの繁殖および週齢のグループ層別に、多少時間をかけてしまった。しかし研究1を行う週齢や匹数が整い、試験を予定通り進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
D型セリンは脳細胞、神経細胞の栄養因子との概念から、脳栄養介入と運動介入の併用で抗運動失調効果を検討する。試験は運動とD型セリン介入と単独介入における比較、小脳プルキンエ細胞および小脳アストロサイト、大脳細胞への影響を形態学的に観察する。 神経変性の軽減が観察される場合、神経変性症に対する運動失調の改善、神経細胞の変性軽減のメカニズムの解析に研究を進めたい。
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Causes of Carryover |
当該研究関連において、次年度の実験計画に遺伝子解析を予定している。これまで遺伝子解析の試験は、他の科研費経費(基盤研究B)から捻出いていたが、研究最終年度の爲、来年度は本研究経費から一部充てることとしました。 当該研究成果が予定どおりの結果に近づいた場合、B6-wob/tマウスの運動失調原因の遺伝子の欠失の有無がその重要な証明となるので、運動失調を発症する原因遺伝子の解析を並行して進めたい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遺伝子解析はすでに進めているので、この原因遺伝子をノックアウトするかトランスジェニック導入を行いレスキュを行う予定である。 来年度経費予算と繰り越し経費で150万円をレスキュー試験に充てる予定です。
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Research Products
(8 results)