経頭蓋直流電気刺激と言語聴覚療法を併用した慢性期失語症のリハビリテーションの研究

2016 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 16K12945
• Research Institution: National Institute of Information and Communications Technology
• Principal Investigator: 井原 綾 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳機能解析研究室, 主任研究員 (30390694)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 種村 純 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (90289207)
• Project Period (FY): 2016-04-01 – 2019-03-31
• Keywords: 言語障害 / リハビリテーション / 失語症 / 経頭蓋直流電気刺激 / tDCS / ニューロモジュレーション / 機能促進 / 発話

Outline of Annual Research Achievements

従来法では効果が得られにくい慢性期失語症にも有効なリハビリテーションの確立を目指して、ニューロモジュレーション法の一つである経頭蓋直流電気刺激 (tDCS) を言語訓練に併用し、訓練効果が向上するかを検証する。これまでに研究代表者は健常者を対象にした経頭蓋直流電気刺激研究を行っており、左下前頭部への刺激が言語のトップダウン処理を促進することを報告している。本研究では失語症者に対して左下前頭部への刺激を与え、言語のトップダウン処理を促進することで、機能回復に効果があるかを明らかにする。初年度は、実験に用いる言語訓練の課題設計を行い、通常、言語聴覚士が行っている訓練手法をタブレットを用いて実行できるように、言語訓練のシステム化を行った。言語訓練には言語モダリティ間促進法 (deblocking法) を採用し、発話に障害をもつ失語症者に対して、機能が良好に保たれている単語の聴覚的理解と復唱（良好モダリティ）の課題を行わせた後、呼称と自発話（ターゲットモダリティ）の課題を行わせ、経頭蓋直流電気刺激によって正答率が向上するかを検討する。単語の聴覚的理解、復唱、呼称、自発話の課題に使用する親密度の高い単語を語彙のデータベースから選定し、それらに対する音声と写真の素材を用意して、刺激呈示と応答取得（画面タッチおよび回答音声）を行うアプリケーションを構築した。二年目はこのアプリケーションを用いて、失語症者を対象とした実験を開始する予定である。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

初年度の計画として経頭蓋直流電気刺激と併用する言語訓練のシステム化を掲げていたが、単語の聴覚的理解、復唱、呼称の訓練と検査をタブレットで遂行可能なアプリケーションを構築し、計画は順調に進んでいる。

Strategy for Future Research Activity

二年目は失語症者を対象として、初年度に作成した言語訓練アプリと経頭蓋直流電気刺激を併用した実験を行い、経頭蓋直流電気刺激による発話機能の促進効果を検証する。

Causes of Carryover

使用計画と一万円未満の誤差が発生した。

Expenditure Plan for Carryover Budget

分担者と打合せのための旅費に使用する。