2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K12954
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
森 幹男 福井大学, 学術研究院工学系部門, 准教授 (70313731)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 補聴器 / 骨伝導 / インプラント |
Outline of Annual Research Achievements |
1.骨導音受聴時における耳栓着用による知覚改善効果の検証,気導音と骨導音の同時聴取の有効性の検証:3種類の骨伝導ヘッドホン装着時における耳内気導音を,耳栓装着時,非装着時についてそれぞれ計測した結果,気導音の回り込みがあることが明らかとなった。 このことから気導音と骨導音の同時聴取の有効性の検証を試みた。また,外耳道閉塞時にみられる強調効果が骨伝導ヘッドホンによって異なることが明らかとなった。その効果は加振位置が耳穴から近くなるにつれて強くなるが,そうならない被験者もいたことから,加振位置についてスイートスポットの存在が示唆される結果となった。 2.魚眼レンズ付きアクションカメラや内視鏡を用いた口腔内撮影方法の検討と口腔内画像・映像の表示方法の検討:円周魚眼レンズを用いた場合の問題点を,撮影を実際に行うことによって明らかにした。また,円周魚眼レンズを用いて撮影した4K動画を編集できる環境を構築した。 3.超磁歪振動子小型化と無線化の検討:直径2 mm長さ13 mmの超磁歪素子に,直径0.05 mmのポリウレタン銅線を100, 250, 500, 1000, 2000回直接巻いた超磁歪振動子をそれぞれ作製し,比較実験を行った結果,250回巻きで十分であることが分かった。モノワイヤレス社製のTWELITEを用いた実験によって,無線通信による制御が可能であることを確かめた。このとき,電源としてリチウムイオンポリマー2次電池を用いたが,充電制御部を実装し,充電機能が正常動作することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.骨導音受聴時における耳栓着用による知覚改善効果の検証,気導音と骨導音の同時聴取の有効性の検証:3種類の骨伝導ヘッドホン装着時における耳内気導音を,耳栓装着時,非装着時についてそれぞれ計測した結果,気導音の回り込みがあることを明らかにした。今後,歯を介して骨導音を提示した場合について実験を行うが,その場合の実験手順を確認すると同時に測定におけるノウハウを得ることができた。歯を介して骨導音を提示した場合についても,スイートスポットの存在や,被験者による相違を調べる手がかりを掴むことができた。 2.魚眼レンズ付きアクションカメラや内視鏡を用いた口腔内撮影方法の検討と口腔内画像・映像の表示方法の検討:円周魚眼レンズを用いた場合の問題点を,撮影を実際に行うことによって明らかにした。また,円周魚眼レンズを用いて撮影した4K動画を編集できる環境を構築した。このように,今後の口腔内撮影の下準備が整った。 3.超磁歪振動子小型化と無線化の検討:自作超磁歪振動子による比較実験を行った結果,銅線の巻き数が250回巻きで十分であることが分かった。また,モノワイヤレス社製のTWELITEを用いた実験によって,無線通信による制御が可能であることを確かめた。このとき,電源としてリチウムイオンポリマー2次電池を用いたが,充電制御部も実装し,充電機能が正常動作することを確認した。 上記の通り,実験はほぼ順調で,達成度としてはおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,平成29年度・平成28年度に得られた結果を基にして,下記のことに取り組む。 1.骨導音受聴時における耳栓着用による知覚改善効果の検証を引き続き行う。耳内プローブマイクロホンで,耳栓着用時の耳内に発生する気導音を測定することによって,最適な口腔内加振位置を明らかにする。また,口腔内加振時における耳栓併用による効果について解明し,最適な利用法について検討する。 2.気導音と骨導音の同時聴取の有効性についての検証に関する実験を引き続き行う。 3.魚眼レンズ付きアクションカメラや内視鏡を用いた口腔内撮影方法の検討と口腔内画像や映像の撮影・表示方法の検討を行う。 4.超磁歪振動子小型化と無線化の検討を引き続き行う。従来,超磁歪振動子に用いられるコイルはボビンに銅線を巻いたボビン巻きソレノイドコイルが一般的であったが,ボビンの有無による出力の大きな差は見られなかったことから,超磁歪素子にポリウレタン線を直接巻くことで振動子の小型化することができた。平成29年度実験に用いた超磁歪振動子は直径2 mm長さ13 mmの超磁歪素子に,直径0.05 mmのポリウレタン銅線を直接250回巻いて作製したが,さらなる小型化・高出力化を図る。 5.周波数特性を骨伝導に最適化した補聴器回路の改良を行うと同時に試験的に実装し,被験者20名に対して主観評価実験を行う。得られた結果を取りまとめ,成果発表を行う。
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Causes of Carryover |
(理由) 実験補助学生の謝金が少なくて済んだため。また,3月の出張を他の予算で行ったため。 (使用計画) 実験補助学生の謝金と出張旅費に使用する予定である。
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