2018 Fiscal Year Research-status Report
介護予防を目的とした住民運営通いの場での地域作業療法学実践モデル構築と評価法開発
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16K12964
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Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
田島 明子 聖隷クリストファー大学, リハビリテーション学部, 教授 (80550243)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 住民運営の通いの場 / 作業療法士 / 役割 / 間接的支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は介護予防を目的とした住民運営通いの場で間接的支援を行う作業療法士の役割について明確化することを目的として、A県B町憩いのサロンプロジェクトを主導してきたリハビリテーション専門医であるA氏、サロンのボランティア養成講座の講師を担当してきた作業療法士B氏に対してインタビュー調査を行った。 調査結果から、作業療法士は、行政と共同して地域診断を行い、サロン開催の企画に関与する一方で、サロンへのボランティア参加を希望する地域在住高齢者に対してボランティア養成講座の企画・開催をし、サロン開催当日は、ボランティアの活動のサポートを行い、実施後、ボランティアの行う振り返りの時間のなかで、肯定的フィードバックや助言を行っていた。また、サロン参加者の健康状況の評価項目を選定し、年に1度評価を実施し、行政に対してその結果をフィードバックすることを通して、根拠に基づいたサロン実施の改善をしていた。 このようにサロン運営のための診断・計画(Precede)、実施・評価(Proceed)のすべての過程に作業療法士の有する知識・技術が活かされていた。診断・計画(Precede)では、作業療法士としての知識・技術のみならず、介護予防における課題を明らかにし、どのような解決方法が考えられるかの仮説立案、計画を実現するプロジェクトのマネジメントが期待され、実施・評価(Proceed)では、対象者の理解やサロン実施の際の集団特性に対する知識、プログラム立案や実行の際の作業活動の活かし方など、作業療法士が優れて持つ知識・技術を活かして、サロン参加者、ボランティアに対して側面的なサポートをしていた。 まとめると、作業療法士の役割は、①サロンの企画・運営の支援、②ボランティア養成講座の講師、③サロン実施の際のサポートと振り返りの助言、④サロン参加者の評価と行政へのフィードバックの4点があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2016年度の進捗の遅れが影響し、本研究の目的の1つである住民運営の通いの場における作業療法士の間接的支援についてのeffctive coverageを把握するための評価法開発には至らなかったが、サロン参加の促進要因や阻害要因、また住民運営の通いの場における作業療法士の役割について仮説生成的に明らかにできたことでもう1つの目的であった介護予防を目的とした住民運営通いの場での地域作業療法学実践モデル構築に向けた大きな足掛かりが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、地域作業療法実践のeffctive coverageを把握する評価法開発に向けた予備的調査を行い、評価法開発に着手する。また、サロン参加の促進要因や阻害要因をさらに詳細に調査するために、プログラムに着目したアンケート調査やサロン参加者の対しての個別インタビュー調査を実施したいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究実施の遅れがあり予定していた調査が未実施であったため次年度使用額が生じた。今後は評価法開発に向けた予備的調査のための研修会参加費用、サロン参加の促進要因や阻害要因をさらに詳細に調査するためのアンケート調査、サロン参加者の対しての個別インタビュー調査を実施する際の物品費、交通費、人件費・謝金等に充当する予定である。
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