2017 Fiscal Year Research-status Report
動きの癖を改善する生理学的メカニズムの解明と新しいトレーニング方法の提案に向けて
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16K12973
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Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
青木 祥 沖縄科学技術大学院大学, 神経生物学研究ユニット, 研究員 (80720672)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 線条体 / ラット / 習慣動作 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、動作の癖すなわち「習慣動作」を抑制し改善する生理学的メカニズムを明らかにし、最終的には習慣動作の改善を促す新規トレーニングの開発を目標とする。先行研究により、線条体の主要な神経伝達物質・アセチルコリンが行動パターンの切り替えに重要であることが示されており(Aoki et al., J Neurosci., 2015)、同様に線条体のアセチルコリンが習慣動作の抑制に不可欠なのではないかと仮説をたてた。 昨年度までにLong-Evans系ラットを動物モデルとして、事前に獲得した習慣動作を抑制するOmission課題と習慣動作を別の似た動作に置換するSubstitution課題の二つの実験パラダイムを確立した。 本年度は、上述の2つの課題を用いて生理学的メカニズムを調べた。線条体においてアセチルコリンを放出するコリン作動性ニューロンの機能阻害を引き起こし、習慣動作を抑制するOmission課題と習慣動作を置換するSubstitution課題に及ぼす影響を検証した。その結果、線条体コリン作動性介在ニューロンの機能を阻害しても、Omission課題に影響は及ぼさなかった。また、同処置がSubstitution課題に及ぼす影響を調べた結果、習慣動作を置換する能力に有意な違いは観察されなかった。 対照実験の条件として、動作が癖として習慣化する前に特定の動作を抑制するあるいは置換する実験パラダイムとを作ることに成功した。さらに、マウスにおいても特定の動作を習慣化させ、それを別のものに改善する能力を測定可能な実験課題を確立した。 来年度は、遺伝学的手法を用いた機能阻害および神経活動操作に優れているマウスを使用してメカニズムの検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
線条体コリン作動性介在ニューロンの機能阻害実験を計画通りに遂行できたため。 また、一部の遺伝学的手法を用いた神経活動操作法はラットにおける適用が困難であることが判明したが、より遺伝学的手法に優れたマウスでの実験パラダイムを代替案として構築できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度まではラットを用いた実験パラダイムにおいて動作の癖を改善できるメカニズムの探索を行ってきたが、平成30年度では遺伝学的手法の適用が易しくかつ多様な神経操作が可能なマウスによる実験系に切り替える。
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Causes of Carryover |
次年度使用額の37,103円は平成30年度の研究に用いられる。
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