2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K12974
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
池上 剛 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳情報通信融合研究室, 研究員 (20588660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 智士 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳情報通信融合研究室, 研究員 (70590058)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 運動システム / 視覚障害者 / 可塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
視覚障害者アスリートの運動システム可塑性機構を明らかにするために、平成28年度は視覚障害者アスリートと晴眼者を対象にTMS実験を行った。被験者は、両足首を交互に伸展屈曲させる周期運動を、1試行あたり1Hzで約60秒間行った。各試行では、視覚野(V1~V5を含む)の14部位のいずれかにTMS刺激(single plus, ISI:平均3秒)か、Sham刺激が与えられた。晴眼者にTMS刺激を行った時、閃光知覚などの感覚知覚体験が、いくつかの部位への刺激によって報告されたものの、TMS刺激とSham刺激の間で、両足運動に実質的な差は見られなかった。一方、ブラインドサッカー選手にTMS刺激を行った時、晴眼者と同じような感覚知覚体験の他に、「足が動かしにくくなった」など、自分の動作に関する体験が報告された。そして実際に、TMS刺激によって彼らの足運動は乱され、Sham刺激時に比べて、運動周期のばらつきが大きくなっていた。この結果は、視覚障害者アスリートの視覚野が運動機能に関与している可能性を示唆する。また、同じ被験者が同様の下肢運動を行っている際の脳活動をfMRIによって計測した。今後は、運動に影響を与えたTMSの刺激部位と、fMRIによる脳活動との関連を調べる予定である。また、アスリートではない視覚障害者を対象にも同様の実験を行い、視覚脱失後の強度の高い運動経験が視覚野における運動システムの可塑性を引き起こしているのかどうかを調べていく。ヘルシンキ宣言を尊重し、人格の尊重の観点から、被験者の自発性が保証された状況でインフォームドコンセントを得ること、研究参加者のプライバシーを厳格に守ることを徹底する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
我々はブラインドサッカー協会の協力の下、日本代表選手を被験者としてリクルートしている。しかし、2020年東京パラリンピックに向けた強化合宿の増加に伴い、想定以上に選手のスケジュール調整が困難であった。現在予定の半数程度(10名)しか、アスリートを対象に実験を行えていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
上述したように、平成29年度は視覚障害者アスリートの被験者募集が上手くいかなかった。よって本事業を平成30年度まで延長する。既に、補助事業期間延長承認申請書を提出し、承認された。よって平成30年度は、29年度に続いて、視覚障害者アスリートと晴眼者を対象にTMSを用いた実験を継続して行う。
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Causes of Carryover |
前述したように、本研究ではブラインドサッカー協会の協力の下、日本代表選手を被験者としてリクルートしている。しかし、2020年東京パラリンピックに向けた強化合宿の増加に伴い、想定以上に選手のスケジュール調整が困難であった。現在予定の半数程度(10名)しか、アスリートを対象に実験を行えていない。よって本事業を平成30年度まで延長する。既に、補助事業期間延長承認申請書を提出し、承認された。よって平成30年度は、29年度に続いて、視覚障害者アスリートと晴眼者を対象にTMSを用いた実験を継続して行う。
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