2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K12977
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
酒井 利信 筑波大学, 体育系, 教授 (40281711)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 武道 / 絵画 / 映像 |
Outline of Annual Research Achievements |
海外においては武道を通して“日本”を知ろうとする人が多く、武道の文化的側面に関する知的な情報が求められている。本研究は、こういった海外の要求に応えるため、従来の文章や言語だけによる伝達ではなく、絵画や映像といったビジュアルを通して受け手の感性に訴えかけつつ武道文化を伝えようとするものである。こういった活動は極めて少なく、緒に就いたばかりであり、挑戦的萌芽の段階にあるといえる。具体的には、国内外から高い評価をうけている酒井(代表者)の最先端研究成果について、外国人が分かりやすいように究極まで平易化し、ビジュアル化してこれを発信しようとするものである。 ビジュアル化については、当初予定としては筑波大学内における体育・芸術の連携により、芸術学系(日本画)の専門家に依頼して日本画のイラストを作成する計画になっており、実際に作成してもらった。これに加えて、イラストの躍動感ということを考えた場合に専門家ではないが武道実践者で描画を得意とする者も適任ではないかという意見が周囲から出され、テストケースとして適任者を選出してイラストを作成してもらい使用した。このイラストについては高い評価を得ている。 発信方法としてはバイリンガル・ウェブ・サイト「Budo world」において随時発信する。本年度は、「武道の基礎知識」「武道の学術情報」「学術論文」「随筆・エッセイ」「映像・写真」「図書紹介」「史料」「フォーラム」のコンテンツを含むサイトとして「Budo World」を再構築した。映像については「映像・写真」の部分での公開になるが、他のコンテンツ全てにおいてイラスト等を効果的に配していく予定である。平成28年度は、「武道の基礎知識」の中の「人物史」において、「塚原卜伝」と「宮本武蔵」についてのイラストを作成し掲載した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究においては、発信媒体が非常に重要になってくるが、、「武道の基礎知識」「武道の学術情報」「学術論文」「随筆・エッセイ」「映像・写真」「図書紹介」「史料」「フォーラム」のコンテンツを含むバイリンガル・ウェブ・サイト「Budo World」が完成したことは、本研究の遂行上大きな成果である。今後は、このサイトを通じて多くの武道文化情報を絵画と映像を効果的に援用しつつ発信していく予定である。映像については、既に作成済みであるDVD映像「鹿島神宮日本刀奉納鍛錬」をアップし配信中である(https://budo-world.taiiku.tsukuba.ac.jp/category/videos-photos/)。また、平成28年度はテストパターンとして「塚原卜伝」と「宮本武蔵」について写真とイラストを配して発信した(https://budo-world.taiiku.tsukuba.ac.jp/category/basicknowledge/budogreats/)。これについての外部からの評価を、Budo World Seminar などで収集中であるが、おおむね好評である。 また、既に作成済みのDVD映像「刀剣にこめられた日本人の心」「剣道具にみる職人の技と心」「The heart and technique of Kendogu Craftmen」を加工しアップする準備を進めている。 加えて、新たなDVD映像として「高師五行形」について作成する準備を進めており、順調である。
|
Strategy for Future Research Activity |
国内外から高い評価をうけている酒井(代表者)の最先端研究成果のうち、平成29年度度は「武道史における神授の思想について」「Outline of Budo History: From fighting Techniques to Means of Education」について平易化し、フィンランドのグラフィック・デザイナーであるMarkus Frey氏(フィンランド剣道連盟)の協力をえながらイラストを作成し、バイリンガル・ウェブ・サイトBudo World の特に「基礎知識」(基礎概念・歴史・人物史)に掲載し発信する。 映像としては、現代剣道の父といわれた高野佐三郎(高等師範学校主任教授)が作り上げ、茗渓(高等師範学校・東京教育大学・筑波大学)に脈々と伝えられてきた「高師五行形」に関するDVD映像を作成しBudo Worldで発信する。この型は、全国的に周知されている日本剣道形とは異なり、非常に特殊なものであるが高野佐三郎の思想が色濃く反映されている貴重なものである。現在これを正統に継承している方(本年80歳)にお願いし、撮影の準備を進めつつある。非常に貴重な資料映像を作成・公開することができるものと考えている。 更に発信媒体であるBudo Worldに関して、国内外からの意見を聞きつつ29年度末を目途に必要に応じて再度リニューアルする。
|
Causes of Carryover |
映像として、現代剣道の父といわれた高野佐三郎(高等師範学校主任教授)が作り上げ、茗渓(高等師範学校・東京教育大学・筑波大学)に脈々と伝えられてきた「高師五行形」に関するDVD映像を作成しBudo Worldで発信するはずであったが、演者の身体上の怪我が理由で次年度に延期となったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
映像として、「高師五行形」に関するDVD映像を、科研費による映像作製の実績があるNPO法人「映像記録」に依頼し撮影・編集をして、Budo Worldで発信するための経費に充当する。
|
Research Products
(3 results)