2016 Fiscal Year Research-status Report
「がん哲学外来」を基盤にした「がん教育・対話学」の確立
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16K12983
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
樋野 興夫 順天堂大学, 医学部, 教授 (90127910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 美沙 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50709003)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生死観の教育 / がん哲学外来 / がん教育 / 対話学 / 緩和ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
「がん哲学外来」は医療現場と患者の間にある「隙間」を埋める為に生まれ、現在まで全国約130カ所への広がりを見せている。同時に、「がん哲学外来市民学会」の開催や「がん哲学外来コーディネーター」養成を行い、「がん哲学」の質を担保するための仕組み作りも行なっている。各地へのさらなる「がん哲学外来」の開設のためには、患者の視点に立ち、利便性と安全性を兼ね備えたネットワークの構築が必要である。本年度は、申請者の所属する順天堂大学が主幹校となっていたがんプロフェッショナル養成基盤推進プラン「ICTと人で繋ぐがん医療維新プラン」にて構築された人と人とのネットワークを通して、岩手及び島根にて「純度の高い専門性と社会的包容力」を基軸とした、「がん哲学外来」が開設された。また、申請者の所属する順天堂大学のある文京区の小学校・中学校にて「がん教育」を行ったほか、平成28年7月28日には文京区の小学校教員対象講習会を順天堂大学にて開催し、「がん教育」を行う先生の対する教育システムの確立を試みている。さらに、文京区と共催で平成28年12月14日にはがん教育シンポジウム「『がん教育』について考える」を文京シビック小ホールにて開催し、市民・学校・大学が協力して「がん教育」を行えるようなシステムの構築に向けた活動を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
がんは国民の約半数が罹患し、3人に1人が何らかのがんにより死亡している。近年、国民病として認識されはじめた「がん」ではあるが、いまだに「がん」は死に直結する怖い病気であるというイメージから、多くの人が「がん」と宣告されると混乱し、治療法などをきちんと選択をすることができない現状がある。さらに、現在の医療は、医療者中心で、患者の視点が、依然、不足している。申請者が提唱した「がん哲学外来」は医療現場と患者の間にある「隙間」を埋める為に生まれ、昨年度は80カ所であったが、現在では全国約130カ所への広がりを見せている。さらに、文京区と共同して、小・中学生をはじめ、市民公開講座を行うことで市民への「がん教育」も行っており、がん患者やその家族・友人、医療従事者をはじめとした一般市民が「がんを知り・共に学ぶ場」の拡充のための基盤が構築されたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
全国へ普及した「がん哲学外来」を中心として、がん患者やその家族・友人、医療従事者をはじめとした一般市民が「がんを知り・共に学ぶ場」の拡充を目指す。さらに、文京区と共同して、地域・市民・大学が連携した「がん教育」システムの構築及び「文京区モデルのがん教育」の手引き書作成を目指す。
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Causes of Carryover |
文京区と協力して事業を行ったことで、会場費を削減することができたこと、また、手引書作成に時間を要したため、次年度使用額が生じました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
「がん哲学外来」「がん教育」普及のため、手引書の作成及び、市民公開講座を行い「がん教育」普及のための活動に使用する予定である。
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