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2016 Fiscal Year Research-status Report

プロジェクトアドベンチャーの概念を内包した森のようちえん保育者養成教材の開発

Research Project

Project/Area Number 16K12984
Research InstitutionSt. Luke's International University

Principal Investigator

菊田 文夫  聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (60234184)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2018-03-31
Keywords森のようちえん / 実践に関する調査 / 参加観察 / プロジェクトアドベンチャー / 保育者に必要とされる能力
Outline of Annual Research Achievements

(1)森のようちえんの実践に関する調査
森のようちえん全国ネットワークに加盟している複数の団体から自由記述で回答された内容を整理したところ、子どもの活動支援や介入に関する方針については、①(離れたところから、黙って)見まもる、②まずは、自分の想いや気もちを表現できたことを受けとめて認める、③子どもの行動には、それを生起させる理由が必ずあるので、なぜできるのにしないのか、について考える、などの6つのカテゴリに分類できた。さらに、森のようちえんの活動理念や哲学については、①子どもが自ら行う挑戦を子どもの本心を見極めながら見まもり、これを他者理解の機会として捉えること、②自然との触れ合いを通して、自然との一体感覚や、自然との共生力を獲得する、③わがままが通用しない自然からの学びを通して、子どもの主体性を育む、などの6つのカテゴリに分類できた。
(2)森のようちえんへの参加観察
「キープ森のようちえん」を対象とする参加観察を実施し、その際に撮影した映像と音声の一部について文章化した。プロジェクトアドベンチャージャパンの専門職員と、これらの内容に関する意見交換を経て、①子どもたちを主体においた関わり方を実践するためには、ファシリテーションの概念が必須、②スタッフ間で共有される大切な価値観の明文化が必要、③個々の子どもたちを多面的な視点で捉える能力と、自然環境の変化に気づく能力が求められ、これらを反映させながら子どもにとって魅力的なプログラムを構成できる力が必要、④子どもたちが自ら決めた課題に挑戦するためには、失敗のリスクを認知しつつも「取り組んでみたい!」と思える刺激ある環境を用意することが肝要、という結果を導いた。
以上の研究結果から、森のようちえんの指導者養成ガイドブックに必要とされる重要な要素が明らかとなり、平成29年度に引き続き分析を進めていくための手がかりを得ることができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成28年度は、以下の内容について、研究活動を実施した。
(1)参加観察に関する準備については、幼児教育分野で公表されている「森のようちえん」の実践に関する論文を収集した。さらに、森のようちえんを対象としする参加観察に際して、具体的な手順や購入した機材の有効的な活用方法を含めた検討を行うため、2016年10月8日~10日に予備調査を実施した。
(2)森のようちえんの実践に関する調査については、森のようちえん全国ネットワークに加盟している団体を対象として、メーリングリストによる協力を依頼した。この調査は、子どもの活動支援や介入についての方針と、森のようちえんの活動理念や哲学について、自由記述形式で問うたものである。なお、調査期間は、2016年11月下旬より2016年末までとした。
(3)森のようちえんを対象とする参加観察については、(公財)キープ協会キープ自然学校において開催されている「キープ森のようちえん」を対象として、第5回「きたかぜこぞうと たきびでおりょうり♪」(2016年11月22~24日)、第6回「もみのきぼうやのクリスマス♪」(2016年12月23~25日)、第7回「おおさむこさむ こおりのまほう♪」(2017年1月18~20日)、第8回「ゆきあそび なんでもや♪」(2017年1月31日~2月1日)、および「ありがとうの会」(2017年3月4~5日)における参加観察を実施した。これらの参加観察において収集した映像と音声資料のうち、一部について文章化し、これらの内容に基づいてキープ自然学校のスタッフ(保育者)にインタビュー調査を行うとともに、プロジェクトアドベンチャージャパンの専門職員から、森のようちえんの活動をプロジェクトアドベンチャーの概念を内包した幼児教育の方法論として体系化するためのアドバイスを得て、その方針が策定できた。

Strategy for Future Research Activity

平成28年度の研究で得た結果を受けて、平成29年度は、以下の通り研究を進める予定である。
(1)「森のようちえん」を対象とする参加観察については、(公財)キープ協会キープ自然学校において開催が予定されている「キープ森のようちえん」6回を対象とするとともに、通園型で運営されている「森のようちえん」2園についても対象にしたいと考えている。さらに、平成28年度に参加観察などで収集した映像と音声データの分析結果に基づいて、「森のようちえん」に関わるスタッフ(保育者)へのインタビューを継続して実施する予定である。これらのデータから、幼児が自ら意思をもって設定する目標とその達成に向かう過程について、プロジェクトアドベンチャーの視点から観察し、その発生機序や成立条件について検討する。加えて、目標の設定からそれを達成するまでの過程を、動機づけ、実行、ふり返りという、アドベンチャーウェーブの集合体として捉えて分析を進めるとともに、具体的なプロジェクトアドベンチャーのアクティビティとして体系化する。
(2)森のようちえんに携わるスタッフ(保育者)のスキルアップに貢献できるガイドブック作成については、参加観察において収集した膨大な映像、写真データについてプロジェクトアドベンチャーの視点で整理、分析した結果を活用する。その際、子どもとスタッフ(保育者)との具体的な会話や、その状況を記録した写真や映像を例示し、初学者にとっても、わかりやすいガイドブックとして完成させたいと考えている。

Causes of Carryover

当初予定していた参加観察の対象とする「森のようちえん」施設を変更したため。

Expenditure Plan for Carryover Budget

平成29年度に交付される研究費と併せて、参加観察およびインタビュー調査に関わる経費として支出する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2017 2016

All Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Presentation] 森のようちえんの実践を通して「いのちの教育」を考える2017

    • Author(s)
      菊田文夫
    • Organizer
      第18回日本いのちの教育学会研究大会
    • Place of Presentation
      山陽学園大学(岡山県・岡山市)
    • Year and Date
      2017-02-25
  • [Presentation] 実践者と語る森のようちえんが大切にしたいこと2016

    • Author(s)
      菊田文夫・佐々木豊志
    • Organizer
      第12回森のようちえん全国交流フォーラム
    • Place of Presentation
      大沼国際セミナーハウス、南北海道大沼婦人会館(北海道・七飯町大沼)
    • Year and Date
      2016-11-05
    • Invited

URL: 

Published: 2018-01-16  

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