2016 Fiscal Year Research-status Report
テイラーメイドトレーニングのための運動学習パラメータ測定プラットフォームの開発
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16K12988
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
進矢 正宏 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (90733452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧山 健 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (40725933)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 運動学習 / スマートデバイスアプリ |
Outline of Annual Research Achievements |
運動学習に関する従来の研究では、体育学分野では学習パラメータを定量することに、神経科学分野では専門家なしで簡便に計測することに、それぞれ課題を抱えていた。本研究は、両分野の知見を統合し、それぞれの欠点を補うべく、スポーツの現場で簡便にアスリートの個性を定量化可能なタブレット端末用アプリケーションの開発を行う。さらに、開発したアプリケーションの妥当性の実証した上で、定量化された個性に適したテーラーメイドトレーニングを開発することを研究目的とした。 平成28年度は、従来の神経科学的実験系で用いられてきたマニピュランダムの代わりに、タブレットを傾ける動作でカーソルを操作するという動作を用いて、運動学習パラメータやリスク志向性の個人差をスポーツ現場で簡便に定量化することが可能なアプリケーション(PoMLab)の開発を行った。タブレットの傾きとカーソルの動きの対応関係を突如変化させ、被験者の運動修正過程を計測した。状態空間モデルを用いて計測したデータを解析することにより、学習率や忘却率といった運動学習パラメータを算出した。健常成人を対象として、マニピュランダムを用いた実験室的実験と、PoMLabを用いた実験を合わせて行い、PoMLabによって測定した値を比較した。その結果、PoMLabによる測定は、精度では従来のマニピュランダムを用いた実験系に劣るものの、簡便に運動学習パラメータを測定することができ、従来神経科学分野で行われてきたものと同様の議論ができることが確認された 得られた結果は、モーターコントロール研究会、体力医学会、SICE LE、および北米神経科学会(SfN)といった国内外の学会で発表し、PLOS One誌に論文として掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
タブレット端末により運動学習パラメータを測定するアプリを開発する、という目的を達成することができた。この成果は国際誌に掲載されただけではなく、発表した北米神経科学会において、Neuroscience Hot Topic 2016に選出されたほか、日経産業新聞等にも掲載された。極めて容易に、いつでもどこでも運動学習パラメータを計測できるという開発したアプリの利点を活かし、スポーツ選手やリハビリテーション患者を対象とした研究にも2016年度内に着手できた。
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Strategy for Future Research Activity |
従来の神経科学分野における運動学習実験では、大掛かりな装置を用意した実験室に患者を呼んだ上で長時間の計測を行う必要があったが、本研究課題で開発したアプリを用いることで、精度は従来の研究に劣るものの、ベッドサイドで10~15分程度で簡便に計測することが可能となった。2017年度は、開発したアプリケーションを用いて、鹿教湯温泉リハビリテーション病院および自治医科大学と共同で、急性期および慢性期の脳卒中患者・認知症患者・パーキンソン病患者といった患者を対象とした研究を行う。運動学習パラメータと各種疾患の臨床的スケールとの相関を分析し、病態や重症度と運動学習能力との関係を分析するほか、予後予測に活かせないか検討を重ねる予定である。
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Research Products
(6 results)