2017 Fiscal Year Research-status Report
筋腱複合体の長さ変化実測に基づく、弾性および粘性が発揮筋力に与える影響の解明
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16K13009
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
福谷 充輝 立命館大学, 総合科学技術研究機構, プロジェクト研究員 (80722644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長野 明紀 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (30392054)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 筋 / 弾性 / 粘性 / スキンドファイバー |
Outline of Annual Research Achievements |
本プロジェクトでは、筋および腱の粘弾性が骨格筋の発揮筋力に与える影響の検証を主目的として研究を進めている。2017年度に実施した研究では、単一の筋細胞 (筋線維) を対象に、等尺性収縮中に正弦波状の長さ変化を加えた時の力応答を計測した。本研究では、摘出した単一の筋細胞を水溶液内に浸し、水溶液の組成、すなわち筋細胞内の化学的環境を制御した上で等尺性収縮を誘発した。等尺性収縮中の力発揮が定常状態に達した後に、正弦波状の長さ変化を加えた。正弦波のプロトコルは、長さ変化の大きさは一定とし、正弦波の周波数は10Hz、20Hz、30Hz、40Hz、50Hzの5条件とした。その結果、正弦波の周波数を増大させると、正弦波により誘発される力応答も増大した。もし仮に、筋細胞が粘性を有していない完全な弾性体として振る舞うのであれば、周波数 (速度) の影響を受けず、長さ変化の大きさに比例した力応答が確認されるはずであるが、本研究ではそのような結果にはならなかった。つまり、本研究の結果は、筋細胞は粘性を有していることを示している。粘性を有するということは、筋細胞が伸長された時に吸収するエネルギーを、その後、筋細胞が短縮するときに全て放出できるわけではなく、吸収したエネルギーの一部は散逸してしまうことを意味する。つまり、スティフネス計測から筋細胞にどれだけのエネルギーが吸収されたのかを検証するのみでは、どれだけのエネルギーが実際の運動に有効に使われているのかを明らかにするには不十分であり、粘性、すなわちどれだけのエネルギーが散逸してしまうのかを合わせて検証する必要があることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画してい2つの実験のうちの1つである粘弾性の検証は、当初想定していたよりも多くのデータが得られ、筋線維タイプ間の比較や、通常ラットと肥満ラットの比較などが可能な状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、残りの1つの実験である、in situにおける、力発揮中の筋および腱の長さ変化と発揮筋力との関連解明に着手する予定でる。測定システムはある程度完成しており、筋・腱の長さ変化を引き起こすためのアクチュエータの動作性能が十分であれば、実験に着手出来る出来る状態である。
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