2016 Fiscal Year Research-status Report
スポーツ活動中の消化管水チャネル分子の動態と水吸収効率を主眼とした熱中症予防戦略
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16K13013
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
杉本 直俊 金沢大学, 医学系, 准教授 (80272954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紫藤 治 島根大学, 医学部, 教授 (40175386)
谷内江 昭宏 金沢大学, 医学系, 教授 (40210281)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 水 / 熱ストレス / 低酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、日本体育協会などの取り組みにより、スポーツ活動中の熱中症は減少した。しかし、私たちはスポーツ活動中に水摂取を行っていたにも関わらず発生した重度の熱中症症例を経験し、水の消化管からの吸収不全が原因である可能性を見出した。スポーツ活動中は血流が筋肉へ配分される結果、消化管への血流は減少し、虚血となる。その結果、消化管の虚血による低酸素と運動による高体温にさらされることで、消化管の水吸収動態が変化したと考えられる。本研究は、運動による消化管水吸収への影響を解明し、運動中の水吸収の効率化から、スポーツ活動中の熱中症を予防する戦略を提案する。平成28年度(初年度)の取り組みと明らかになったことは、以下である。 (1)熱ストレスにより、シャペロンタンパク質や水輸送体である水チャネルの発現が変化した。 (2)低酸素ストレスにより、炎症反応で誘導されるCOX-2の発現が増加した。COX-2はプロスタグランディンの産生に関与することから、産生されたプロスタグランディンがEP受容体を介して様々な反応を引き起こすことが推察された。 (3)様々なストレスは炎症を生じることが知られている。炎症が惹起されることにより水輸送体である水チャネルの発現が変化した。 以上は、各種ストレスによる単独の反応を見ているが、各種ストレスの組み合わせなどの考慮も必要と考える。しかしながら、総合して各種ストレスにより水代謝が影響されることが本年度の結果から示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は様々なストレスへの応答などについて検討を行ってきたが、各種ストレスの組み合わせなどについての検討はほとんど進んでいない。しかしながら、本年度の結果は、次年度での研究推進に極めて有用であると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も継続して、熱ストレス、低酸素ストレスやその他のストレス(炎症含む)ならびにそれらのコンビネーションによる細胞や生体での水代謝への影響を検討する。
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Causes of Carryover |
一部の研究消耗品の購入を次年度に繰り越した。また、一部の情報収集などの活動も次年度に繰り越したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
共同研究体制は機能している。より一層の充実のため、研究分担者との交流や意見交換、また、情報収集などの活動の経費に充てるとともに、研究消耗品購入などの実験推進や、成果発表活動などの経費にも充てる。50万円以上の物品の購入はない。
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Research Products
(4 results)