2016 Fiscal Year Research-status Report
Production of full length alpha-actinin-3 protein from ACTN3 gene X genotype
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16K13015
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
原田 永勝 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 講師 (40359914)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ACTN3 / α-actinin3 / リードスルー / スポーツ / パワー・瞬発系 / 遺伝子多型 / 筋線維タイプ / R577X |
Outline of Annual Research Achievements |
速筋で発現するACTN3遺伝子にはR型とX型の2つのアレルの組み合わせによりRR型、RX型、およびXX型の3つの遺伝子型が存在する。異所性の翻訳終止コドン(PTC)をもつX型のmRNAは細胞内でナンセンスコドン依存性mRNA分解(NMD)により分解されるため、XX型のヒトでは速筋内にコードタンパク質であるα-actinin3が発現しない。これまで、XX型のヒトよりもR型保有者の方がパワー・瞬発系の運動に適しているとする報告が多い。本研究では、PTCを読み飛ばす作用を示すリードスルー物質によって、X型のACTN3 遺伝子からR型と同じα-actinin3を発現できるか否かを明らかにすることを目的とした。本研究ではまず、ヒトACTN3遺伝子のX型mRNAを外来性に培養細胞(HEK293)に発現させる方法を用いてX型ACTN3遺伝子発現細胞を作製した。細胞にリードスルー物質(天然物質を中心に)を投与し、一定時間後に細胞からタンパク質を抽出した。ウエスタンブロット法により全長の外来性α-actinin3タンパク質(N末端およびC末端にタグが融合されている)の発現を確認した。N末端およびC末端のタグ抗体を用いて免疫沈降を行ったところ、より特異的に外来性α-actinin3タンパク質を検出することができた。一方、外来性にX型ACTN3 pre-mRNAを発現する細胞を作成し、この細胞においてX型ACTN3mRNAがNMDによって分解されていることを明らかにした。これにより、より生体内の条件に近いX型ACTN3遺伝子発現細胞の研究基盤を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度の主な研究実施計画として、外来性X型ACTN3遺伝子発現細胞におけるリードスルー効果の検討があげられるが、α-actinin3のタンパク質の免疫沈降が当初の予想以上に困難であった。免疫沈降に一般的に用いる試薬成分の中に、α-actinin3の免疫沈降を妨げる反応を起こすものが含まれる可能性が示唆された。この問題を解決するための実験に時間を使ったため、当初の予定からやや遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に構築したX型ACTN3 pre-mRNAを発現する細胞を用いてウエスタンブロット法によりリードスルー効果を解析する。また、新たなX型ACTN3遺伝子保有細胞の獲得をめざして、マウス筋細胞C2C12のゲノム編集やヒト細胞の中からの候補細胞の獲得を検討する。候補細胞が獲得できれば、これら細胞を用いてリードスルー効果を明らかにできる。また、筋細胞の場合は、筋線維タイプの変化も検討する。
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Research Products
(1 results)