2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K13034
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Research Institution | Shujitsu University |
Principal Investigator |
飯田 智行 就実大学, 教育学部, 講師 (70509645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 和俊 流通科学大学, 人間社会学部, 准教授 (30552210)
高木 祐介 奈良教育大学, 教育学部, 特任准教授 (70707702)
家光 素行 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (90375460)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 熱中症予防 / スポーツ観戦 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、暑熱環境下のスポーツ観戦中の水分摂取状況を把握するために、高校野球観戦者の水分摂取状況を検討した。春季及び夏季に調査を行った。高校野球1試合観戦中、ミネラルウォーターを自由に飲水できる条件とした。測定項目は水分摂取量,体重減少量,発汗量算出とした。 春季の環境条件はWBGT10.3±0.4℃、夏季の環境条件はWBGT34.6±0.7℃であった。夏季は水分摂取量が増加したにも関わらず、体重減少量も増加していた。夏季の高校野球観戦では、口渇感に頼る水分摂取量では十分ではないことが示された。ほぼ安静状態のスポーツ観戦でも熱中症が発症し得る可能性を示した。 次に、夏季の高校野球における水分摂取の実態を性差に着目して検討を行った。夏季に、某球場外野席において調査を4回行った.対象者には,高校野球を1試合観戦している間,ミネラルウォーターを自由飲水させた。日本体育協会の熱中症予防運動指針(2013)を参考にすると、「運動は原則中止」「厳重警戒」の暑熱環境下での野球観戦であった.約2時間の観戦での結果,女性と比較して男性は水分摂取量が少なく,脱水率が高いことが明らかになった.体温上昇や発汗機能に性差があることが報告されており,本研究もこれらの報告を支持する結果と考えられた.女性は月経周期を有することから,観戦時においても口渇感や発汗量などの生理応答に影響を及ぼすことが推測されるため,女性の水分摂取量を個々で観察した。22名中21名が男性の平均値より高値を示していた.脱水率は22名全員が男性の平均値よりも低値を示した.今後,「スポーツを観る人」の熱中症予防の指標作成において,月経周期別のデータ解析を行う意義が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)フィールド調査において暑熱環境下のスポーツ観戦者の水分摂取状況の把握、(2)人工気象室実験においてWBGTの違いがスポーツ観戦者の水分摂取量に及ぼす影響を検討することを当初の計画としていた。(1)については、順調に調査も実施し終了したが、(2)については対象者との日程調整がつかず、進めることができなかった。そのため、次年度以降に実施予定であった性差に関する調査を先に実施し、新たな知見を得ることができた。また、(2)については、H29年度は対象者および施設の日程調整も済んでおり、実施できる状況を整えている。以上のことから、おおむね順調に進展しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度は、H28年度中に終了しなかった人工気象室実験の実施(日程調整済み)と当初計画していた飲水行動、暑熱順化、加齢の違いに着目した実験・調査を実施する。また、研究成果に関する公表も行っていく。
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Causes of Carryover |
共同研究者の施設での実験を予定し、対象者の旅費を計上していたが、対象者の日程調整がうまくいかなかった(授業の関係など)ため、当初の予定よりも使用額が下回った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H29年度は既に日程調整も済んでおり、H28年度使用予定だった予算を執行できる。
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Research Products
(2 results)