2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K13039
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
徳山 薫平 筑波大学, 体育系, 教授 (00207565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萱場 桃子 公益財団法人神経研究所, 研究部(代々木), 研究員 (20759055)
木塚 朝博 筑波大学, 体育系, 教授 (30323281)
緒形 ひとみ 広島大学, 総合科学研究科, 助教 (80455930)
Vogt Kaspar 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 准教授 (80740034)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 記憶の固定 / 睡眠 / 技の習得 |
Outline of Annual Research Achievements |
水泳や自転車の運転、楽器の演奏などの運動技能は記憶の分類上、手続き記憶と呼ばれる。言語化が可能な記憶である宣言的記憶は、睡眠によって強化されることが数多く報告されていたが、近年手続き記憶の固定にも睡眠が重要な役割を果たすことが明らかになってきた。ただし、手続き記憶の固定のために頻繁に用いられている課題は一定角度回転のかかったカーソルを動かす回転順応課題、スクリーンに継続的に現れる視覚刺激の位置に対応するボタンを指で押すタッピング課題であった。これらの課題は、日常的な動作とはかけ離れており難易度も低いため、運動学習やリハビリテーションなどの実践的な活動に応用していくことが困難である。平成29年度には、熟練している技能である食事(箸の扱い)を非利き手で行う課題を設定した。非利き手の食事課題が睡眠に及ぼす影響を明らかにすることを目的として、健常男性10名を対象に、利き手試行と非利き手試行の2試行をクロスオーバーデザインで実施し、睡眠の質の比較を行った。OSA睡眠調査票による主観的睡眠評価、睡眠時脳波解析による睡眠変数評価、頭頂部脳波の周波数(アルファ波、デルタ波、シータ波)、相互相関解析による脳波の左右差を検討した。睡眠全体の比較では、主観的評価と客観的評価ともに試行間で有意な差はみられなかったが、総就床時間を4分割した場合の比較では、非利き手試行の睡眠後半、特に第3区画で深睡眠の長さが有意に増加した。また、非利き手試行の第3区画でデルタパワーの平均値と密度が有意に増加していた。デルタパワーは深睡眠時に頻出する特徴をもつため、非利き手の食事課題により、第3区画の深睡眠の長さだけでなく、深睡眠の量も有意に増加したといえる。なお、脳波の左右差は確認されなかった。本研究により第3区画の深睡眠が、非利き手の食事課題による手続き記憶の固定に重要な役割を果たした可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
箸使いを課題とした研究については論文化を進める。平成30年度には、箸使いを課題とした研究投球動作を課題とした研究に発展させる。
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Causes of Carryover |
脳波解析を日本睡眠総合検診協会に委託していたが、年度途中から筑波大学・国際統合睡眠医科学研究機構で行うことになり、委託料を節約し、次年度の研究経費とした。
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