2016 Fiscal Year Research-status Report
体幹部の内臓脂肪・皮下脂肪分布の定量:3次元解析と脂肪量の高精度推定式の開発
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16K13057
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
田中 史子 早稲田大学, 重点領域研究機構, 次席研究員 (20756184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 照正 順天堂大学, 医学部, 准教授 (00570847)
川上 泰雄 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (60234027)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 内臓脂肪 / 皮下脂肪 / 分布 / 推定式 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:人間の体幹の内臓脂肪・皮下脂肪を3次元的に評価し、年齢や性別、身体組成、種々の形態計測値との関連性を調べたうえで、体幹の脂肪量の簡易・高精度推定法を開発する。対象は中・高齢男女とし、MRI法を用いて体幹の内臓脂肪・皮下脂肪全体を可視化し、それぞれの腹腔内分布状態とともに体積を定量する。同時に、身体組成の推定に加えて身体各セグメントの形状を詳細に計測するとともに、超音波法によって身体各部の皮下脂肪厚と筋厚を計測する。これらの計測値から、体幹の皮下脂肪量・内臓脂肪量と年齢、体格、身体組成、骨格筋量、性差などとの関連性を多変量解析によって明らかにしたうえで、簡便な身体計測値から体幹の脂肪量を高精度に求めることができる推定式を開発し、公表する。 実績:平成28年度においては、体幹における脂肪量評価法の確立を行った。非侵襲的とされるMRI法を用いて、中・高齢男女を対象として体幹部における内臓脂肪と皮下脂肪の蓄積状態を可視化する。脂肪のみならず筋組織についても体幹全体について可視化を試み、骨格・骨格筋の発達度合いの計測と併せて体幹部の「からだつき」を評価する。本年度においては、体幹部の内臓脂肪、皮下脂肪全体像のMRI法による可視化を検討。MRIの撮像手法には、T1強調、T2強調、脂肪抑制など種々のものが存在する体幹部の脂肪を描出するにあたり、最適なプロトコールを模索し決定した。対象部位は胸骨下端から大転子までをFSE、T1強調にてスライス厚10mm、スライス間ギャップ0mmで連続撮像を行う。より精密な分析のため、内臓脂肪の多い臍から上下5cmについてはDixon法を用いることに決定。トータルの撮像時間は20分、高齢の被験者でも姿勢維持が可能な時間であるかを男女20名について測定し確認した。内臓脂肪、皮下脂肪の分布パターンを評価するため分析を行い、プロトコールに問題がないことを確認。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MRI法の撮像方法については予定通り確立できた。しかし、その問題点として、内臓脂肪と内臓諸器官のコントラストの差が少なく、内臓脂肪の抽出が困難である点があげられ、この点については脂肪組織と他組織の判別が容易なCT法が優れている。MRI法による上記の測定にCT撮像を加えて計測を行い、得られた2つのデータセットから、MR画像において腹膜や内臓、骨組織、筋組織、血管等と脂肪組織を区別しながら脂肪組織を高精度・客観的に定量することのできる指標(MRIのコントラストに基づく自動判別アルゴリズム)を構築するまでには至っていない。 CTの撮像には困難を極めているが、平成29年度前半において2名の被検者においてCTおよびMRIの同時撮影を試みている。 これにより、本研究の手法は確立されるものと計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29~30年度:内臓脂肪と皮下脂肪の分布様相の明確化と体幹の脂肪量の推定式の開発に向けて、自立した生活が可能であるが、健康診断等においてメタボリックシンドロームの基準に該当する方、体格を含めた体力レベルの高い方を含む健常な中・高齢男女計120名について、前年度に確立したMRI法による体幹の脂肪量、骨・筋量の計測を行う。また同時に、生体電気インピーダンス法による身体組成(体脂肪率、除脂肪組織比率)推定、テープメジャーによる体肢、体幹のセグメント長および周径囲計測、光学3次元人体形状計測法による全身の体表計測、超音波Bモード法による全身の皮下脂肪・筋厚の計測を行う。 光学3次元人体形状計測法においては、体幹・体肢をセグメント分けするための解剖学的ランドマークの精確な自動認識をコンピュータ上で行うために、全身の18ヶ所の皮膚上に反射マーカーを貼付したうえで計測を行い、セグメントの長さ、周径囲分布、表面積、体積を求める。なお、テープメジャーによるセグメント長・周径囲の計測値は、光学式3次元人体形状計測法によるデータとの整合性の確認と、実際に現場で応用されることになる推定式の投入パラメータとしての意義を有している。その精度を超音波計測においては、体幹2箇所、上肢3箇所、下肢4箇所の部位について、熟練した検者が、申請者の研究グループによって確立された手法によって皮下脂肪厚と筋厚を測定する。得られたデータに対して年齢、性別なども加味しながら多変量解析を施し、体幹における内臓脂肪量と皮下脂肪量の推定式を開発する。上記の測定は平成30年度の中盤まで継続し、推定式の交叉妥当性検証のためのデータとしながら、推定式の精度を極力高めたうえで最終年度末までに完成させる。
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Causes of Carryover |
MRIの使用時間が限定されているため、プロトコール確立に時間を要した。方法論が確立したものの、分析が思う以上に進まなかったことが次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
プロトコールは確立し、測定も行ったため、解析を早急にすすめていきたい。そのために必要な人件費、消耗品代として昨年度分については平成29年度上期で使用予定。
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Research Products
(3 results)