2016 Fiscal Year Research-status Report
加齢に伴う脂肪組織のアディポカイン分泌の変動とサルコペニア肥満との関連性について
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16K13061
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
服部 秀美 宮崎大学, 農学部, 准教授 (80508549)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脂肪組織 / アディポカイン / IGF-1 / 骨格筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
サルコペニアとは、筋肉量減少と身体機能低下を認める状態のことであり、それに肥満が伴うとサルコペニア肥満といわれる。サルコペニア肥満の原因は、加齢による成長ホルモンの減少と炎症性アディポカインの作用によるといわれるが、詳細は不明である。 IGF-1は筋芽細胞・筋細胞に対して筋タンパク質の合成を導き、それにより骨格筋が肥大し成熟することから骨格筋の維持・増量にとって重要な因子である。一方、脂肪組織から分泌される炎症性アディポカインは、骨格筋量減少の要因となっている。そこで28年度は、脂肪組織のアディポカイン及びIGF-1の発現について検討した。 若齢及び糖尿病マウス(dbdbマウス)の大腿鼠蹊部の脂肪組織から脂肪組織由来細胞を単離した。脂肪組織由来細胞の培養上清中のアディポカインを定量したところ、若齢マウスより糖尿病マウスの方が、多くのアディポカインの分泌量が著しく高い結果となった。また、脂肪組織由来細胞を3継代したものを脂肪組織由来間質細胞とし、この脂肪組織由来間質細胞が分泌するアディポカイン量を測定したところ、若齢及び糖尿病マウスともに脂肪組織由来細胞よりもアディポカインの分泌量が低下したが、低下率は糖尿病マウスの方が高かった。初代培養の脂肪組織由来細胞には炎症細胞が多く含まれ、継代することにより炎症細胞が除去されたと考えられる。よって、脂肪組織の炎症細胞が炎症性アディポカインの分泌に影響を与えていると考えられた。 IGF-1の分泌量も同様に定量したところ、若齢及び糖尿病マウスともに脂肪組織由来細胞よりも脂肪組織由来間質細胞の方が低くなったが、低下率については同程度であった。IGF-1の分泌には、炎症細胞の影響と別の機序があるのではないかと示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、若齢及び糖尿病マウスの脂肪組織由来細胞及び脂肪組織由来間質細胞が分泌するアディポカインを網羅的に定量することができた。さらに、筋管形成促進作用を有するIL-4の分泌を亢進させる脂肪組織由来間質細胞の培養条件を選定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
IL-4の主な作用は、抗アレルギー作用や抗感染作用であり、骨格筋に対しては筋芽細胞から筋管(筋線維)形成を促進しているといわれている。28年度の結果から、脂肪組織由来細胞の培養条件を変えるとIL-4の分泌が上昇することを見出した。そこで、アディポカインの中でも特にIL-4に着目し、IGF-1発現との関連について検討する。そしてシグナル伝達も明らかにする。 また、C2C12を使用しin vitroでサルコペニア肥満が再現できる培養系を確立する。
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Causes of Carryover |
平成28年9月に所属する研究組織が変わり、一時的に実験を中断することになった。再開に時間を要したことから、一部実験方法を見直した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究組織を異動したことで、研究に必要な機器がない状況になった。必要な機器の購入に充てる。
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Research Products
(1 results)