2016 Fiscal Year Research-status Report
胎児期睡眠形成と子どもの睡眠障害との関連に関する研究
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16K13072
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
諸隈 誠一 九州大学, 環境発達医学研究センター, 特任准教授 (50380639)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 胎児 / 睡眠 / 発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
子どもの睡眠障害は脳神経系の形成に影響を及ぼすことから、健全な睡眠形成は子どもの発達に極めて重要である。子どもの神経発達は胎児期から連続しており、睡眠形成も胎児期にはじまっている。すなわち、子どもの睡眠障害の中には、生後ではなく胎児期の環境が発端となっているものが存在する可能性がある。これまで、胎児環境としての母体の生活習慣と胎児の睡眠形成の関連、胎児の睡眠形成と出生後の睡眠形成との関連に関する報告はなく、これらを明らかにし子どもの健全な発達に役立てることが本研究の目的である。 本年度の計画として、正常例20例のデータ収集を予定していた。実際は17例の母体胎児のデータを取得しており概ね順調である。データの内容は、母体の睡眠ほか生活習慣に関する情報(質問票)、唾液、尿の採取によるメラトニン分泌の位相、量、胎動記録装置による胎動データである。母体のメラトニン分泌の位相、量の個人差が大きいことが分かった。母体の生活習慣リズム、ホルモン分泌リズムと胎動の日内変動との関連を現在解析中である。 一方、胎児睡眠の詳細な評価として、超音波断層法により眼球運動、口唇運動等を観察し、眼球運動期、無眼球運動期の持続時間、眼球運動・口唇運動の頻度、密度、周期性、眼球運動と口唇運動の関連性に関する情報を取得した。こちらも現在解析中であるが、妊娠期間中に、胎児睡眠が発達する変曲点を見出した。 次年度以降は、出生児のフォローアップを行いながら、睡眠形成障害のハイリスクと考えられる胎児発育不全症例について同様の検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた症例のリクルート、データの収集は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
母体の生活習慣リズム、ホルモン分泌リズムと胎動の日内変動との関連を解析し、明らかにする。次に、出生児について、児に装着したアクティウォッチおよび質問票による睡眠に関する情報を用いて、胎児の日内変動、睡眠評価項目との関連を解析する。 以上により、母体の生活習慣-胎児の日内変動・睡眠形成-子どもの睡眠形成の関連解析を行う。正常例のフォローアップを継続し、推定体重-2SD以上の発育不全を認める胎児(入院症例)について、正常例と同様に情報を取得する。正常例と、胎児発育不全症例における日内変動、胎児期睡眠形成の違いを検討する。その他、正常例と同様に、出生児の睡眠形成との関連について解析を行っていく。
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Causes of Carryover |
設備備品費として計上していたアクチグラフの動作不良が続いたため、追加購入を控えたことと、ホルモン値の測定にかかる費用が想定していたより減額したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後、症例数の増加にともない、ホルモン値などの測定費用、成果発表のための旅費に使用していく予定である。
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