2018 Fiscal Year Research-status Report
児童養護施設における学生ボランティア活動の実態把握と質的向上をめざした臨床研究
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16K13073
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
井上 靖子 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (00331679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 喜治 龍谷大学, 文学部, 教授 (90351329)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 児童養護施設 / ボランティア / 心理臨床教育 / 子どもの養育環境 / 地域支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、児童養護施設における学生ボランティア活動の実態把握を目的として、児童養護施設3カ所(関西地区2ヶ所、中部地区1カ所 2018年2月22日、27日、4月4日)を選出し、個別にインタビュー調査を実施した結果についてまとめを行った。3施設の選出基準は、活動の目的別で1.社会的養護への理解を目的とした短期の活動を受け入れている施設、2.子どもへの学習や遊びの支援など個別的な関わりを目的とした活動を受け入れている施設、3.子どもへの心のケアなどより専門的関わりを目的としたプロボランティア活動を行っている施設である。 これらの調査をふまえ、研究主担の井上靖子は、日本子ども虐待防止学会第24回学術集会おかやま大会(2018年12月1日,川崎医療福祉大学於)にて、「児童養護施設における学生ボランティア活動の実態把握と質的向上のための一考察」というテーマで、全国の児童養護施設219施設を対象とした質問紙調査と、3施設への直接のインタビュー調査も加えた、学生ボランティア活動の実態調査の研究成果について口頭発表を行った。また、研究分担の森田喜治は、第十回アジア災害後心理援助国際学術大会(2018年8月22日,龍谷大学大宮校舎於)にて、大会企画シンポジウム4「自然災害後の復興ボランティア活動と被災者のこころのケア」というテーマで発表を行っている。今年度の成果として、ボランティア活動が子どもたちを取り巻く様々な関係性に与える影響があるという点である。学生が、子どもにとってよい模範となるだけではない。ボランティアに携わる学生の真摯な活動姿勢が、施設職員に子どもに対する異なる視点からの理解を与えたり、仕事に対する意欲を引きだすこともある。一方で、外部の人々が関わることによる子どもの愛着形成に与える影響、性暴力の危険性などの問題を認識し、対策を考慮しておく必要があることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は研究主担当者が他の業務が多忙のため、最終的な研究報告書の作成に至らなかった。そこで、研究報告書の作成や書籍化を目指した論文執筆等の時間をつくるため、当初の予定を1年間延期することとなった。ただし、研究主担の井上靖子が、日本子ども虐待防止学会第24回大会(2018年12月1日,川崎医療福祉大学於)の口頭発表を実施する、研究分担の森田喜治は、第十回アジア災害後心理援助国際学術大会にて、大会企画シンポジウム4「自然災害後の復興ボランティア活動と被災者のこころのケア」というテーマで発表を実現するなど、研究を進めていく積極的な努力を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、これまでの質問紙調査とインタビュー調査の結果を合わせて研究報告書を作成する。これらの研究報告書については、児童養護施設の施設長やボランティア担当者が閲覧できるようホームページでの公開を予定している。また、学生が2018年度の卒論研究でまとめた「児童養護施設における学生ボランティア活動の課題とその解決のための一考察」をもとに、学生が児童養護施設における子どもとの関わりで直面するトラブルについて事例をまとめ、事前指導内容に活用する予定にしている。また、学習支援による個別的で継続的な関わりが子どもの心の安定や愛着形成によい影響を与えるという視点からの事例検討やボランティア事例調査を行う。これらのすべての成果を総合して、最終的に児童養護施設におけるボランティア活動に役立たられる書籍にして出版化していく方向で進めている。
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Causes of Carryover |
(理由)2018年度で研究報告書を作成する予定にしていたが、研究主担当者、分担者共に他の研究関連業務が多忙となり、報告書やホームページの作成ができなかったことが主な理由である。そのため、2019年度にこれまでの質問紙調査やインタビュー調査の研究成果をまとめ、論文執筆をし、研究報告書を完成させる。さらに、児童養護施設の施設長やボランティア担当者が閲覧できるようホームページでの公開を予定している。また、学生がボランティアを実施するうえで生じた問題事例に対する関わりの要点を検討し、事前指導の内容としてまとめる。また、学習支援による個別的で継続的な関わりが子どもの心の安定や愛着形成によい影響を与えるという視点からの事例検討やボランティア事例調査を行う。これらの研究成果を総合して、最終的に児童養護施設におけるボランティア活動に役立たられる書籍にして出版化していく方向で進めている。 (使用計画)したがって、本年度使用額については、日本子ども虐待防止学会への参加費や旅費、事例発表に伴う謝金、ボランティア事例調査のための旅費、研究報告書の印刷費や冊子代、ホームページで公開するページの作成費、書籍として執筆するのに必要な消耗品費として使用する。
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Research Products
(3 results)