2017 Fiscal Year Research-status Report
18歳選挙権を踏まえた主権者教育及び子どもの社会参画促進につなげる国際比較研究
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16K13076
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
林 大介 東洋大学, 人間科学総合研究所, 客員研究員 (60708379)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | シティズンシップ教育 / 18歳選挙権 / 模擬選挙・模擬投票 / 政治教育 / 子どもの社会参加 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)主権者意識を育む教育のあり方の実践検証と評価 <海外視察>ドイツ連邦議会議員選挙(2017年9月)における模擬選挙、政治教育及びシティズンシップ教育の現場を視察するために、ドイツ・ベルリンの政治教育センター・中学校・高校・ユースセンター・現地NPO等を訪問し意見交換を行った。コスタリカ大統領選挙(2018年2月)における模擬選挙、民主主義教育及び平和教育の現場を視察するために、コスタリカ・サンホセの憲法最高裁判所・公教育省・投票所・模擬選挙の投票所(子ども博物館、チャンネル7)・憲法法廷・国会議事堂等を訪問し意見交換を行った。 <研究会の実施>18歳選挙権時代が始まった日本では、学校での政治教育・主権者教育・シティズンシップ教育の取り組みに関心が集まっている。しかし海外では、実際の選挙時に小学校で模擬選挙が普通に行われ、子ども時代からシティズンシップや民主主義について学び、権利主体としての子どもが社会参画する機会が多々ある。そこで、ドイツ、アメリカ、スウェーデンで取り組まれている政治教育・主権者教育・シティズンシップ教育・民主主義教育・子どもの社会参画の現場視察を踏まえ、日本におけるこれからの可能性と課題について考える研究会を、2017年12月に実施した。 (2)子どもの声を政治・行政に反映する機会の効果検証と評価 「「地方自治と子ども施策」全国自治体シンポジウム2017えちぜん」を通じて、実際に自治体における子ども会議に参加している子どもおよび自治体職員から、その効果と評価について意見を伺った。また、模擬選挙や研究会などを通じて、中高生世代の声を把握した。模擬選挙に関する報告書を作成し、ウェブサイトを通じて情報発信を行うとともに、論文や書籍などで政治教育・主権者教育が抱えている課題や展望についてまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検証のための研究チームの立ち上げにはいたらなかったが、12月に行った研究会において日本の学校現場が抱えている課題が浮き彫りとなり、今後の改善点を見出すことができた。また、18歳選挙権による国政選挙がすでに2回(2016年7月の参院選、2017年10月の衆議院総選挙)行われ、かつ、地方選挙でも18歳選挙権が普通に行われる中、各地からも課題が届いている。学生団体、NPOなどが各地で活躍していたこともあり、それらの団体からも課題やこれからの展望が寄せられている。 海外での取り組みについては、12月の研究会の実施によって、アメリカおよびドイツの実践についてまとめることができ、コスタリカについても調査結果をまとめているところである。特に、海外の模擬選挙を含めた政治教育の実態について実際に視察をしたことに対する需要は高く、各地から報告に招かれている。 なお、子どもの声は必要に応じて把握してきているが、18歳選挙が始まってまだ2年が経過した段階でもあり、学校現場が慎重で、十分に取り組めていない。
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Strategy for Future Research Activity |
海外の取り組み(アメリカ、ドイツ、コスタリカ)で得た知見を活かし、日本における模擬選挙の効果検証、実施上の課題、改善点、模擬選挙以外の主権者教育のあり方などについて、現場の先生へのヒアリングを含め、丁寧に取り組む。 また、本年9月にスウェーデン総選挙が行われることから、スウェーデンでの民主主義教育のあり方や、子ども・若者の社会参画推進に向けた取り組みについて調査を行う。 さらに、自治体に対するヒアリングは、ヒアリング先を5-7箇所程度に絞り、担当者および参加している子どもを対象に実施するとともに、子ども・若年層の社会参加・政治参加に取り組んでいるNPOや学生団体における事例調査や関係者に対するヒアリングを実施し、主権者教育・政治教育のあり方について多角的側面から研究し、研究最終年度ということで、これまでの研究の成果をまとめることに取り組む。
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Causes of Carryover |
理由:海外調査(2018年2月 コスタリカ)の費用において、当初予算よりもオーバーしたことに伴い、科研費での支払いを次年度に繰り越したため。 使用計画:2017年度の海外調査(2018年2月 コスタリカ)の費用を2018年度に支払う。
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Research Products
(4 results)