2017 Fiscal Year Research-status Report
保育現場と家庭の効果的連携方法の構築―手書き連絡帳と電子連絡帳の比較を通して―
Project/Area Number |
16K13078
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
高 向山 常葉大学, 健康プロデュース学部, 准教授 (60410495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山際 勇一郎 首都大学東京, 都市教養学部, 准教授 (00230342)
梅崎 高行 甲南女子大学, 人間科学部, 准教授 (00350439)
若尾 良徳 日本体育大学, 児童スポーツ教育学部, 准教授 (70364908)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 保育連絡帳 / テキストマイニング / 内容分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
①連絡帳研究のレビューおよび発表について 保育所連絡帳における家庭援助・連携機能を取り上げた1990年代以降の研究を対象とし、研究手法に焦点を当てて概観した結果を日本保育学会第70回大会(2017年5月)にてポスター発表した。質問紙や聞き取りによる意識調査(例:広沢・清水・角藤,1996;伊藤,2016)と、記述量・頻度による分析(例:奥山,1994;丸目,2016)、そして記述内容の構成・構造化分析(例:剣持・山内,2005;林,2015)、さらに関係性分析(例:二宮,2010)の4つの研究手法に大別された。そのうち、保護者との関係構築を一層図っていくためには、関係性の分析を深めることは有効であろう。今後内容分析を用いた関係性分析に注目していく。 ②手書き連絡帳の内容分析および研究発表について 幼稚園連絡帳について談話分析の結果を日本教育心理学会第59回総会(2017年9月)にてポスター発表した。確実性の高い情報の文書化(情報性)および共通認識の確認が構造化されたメッセージルール(意図性)がみられた。活字による情報交換と口頭による情報交換の区別(容認性)がみられた。これらのメッセージルールが保護者との関係構築に有利に働く可能性が示唆された。今後幼保データを蓄積し内容分析を実施する予定である。 ③電子連絡帳の使用や導入に関するインタビュー調査について オランダやオーストラリアなどの海外在住者や幼児教育関係者から、電子連絡帳の使用に前向きな意見が多く聞かれたのに対して、日本国内中部地方の地方都市では幼稚園や保育所が地域密着型という特徴から、手書き連絡帳が有する温かみや書きやすさ、記念性などにより、電子連絡帳の導入について否定的な考えが施設長の間で主流であった。一方で、データ化して管理しやすさという意見も聞かれた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初計画では29年度には電子連絡帳を協力園で導入・使用し、電子連絡帳と手書き連絡帳の内容などにおける比較検討を行う予定であったが、保育所・幼稚園などを問わず、静岡県内では保育における地域密着性から電子連絡帳の導入に否定的な見方が主流であり、電子連絡帳のデータが入手できなかったためである。 次年度には、大都市圏に範囲を広げ、すでに導入済みの園から協力を得るための努力を続ける予定である。ただし、一部の園からは個人情報保護の観点から断られる事案も生じており、個別の保護者に協力を請う形も考えていかなければならない。
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Strategy for Future Research Activity |
①連絡帳の内容分析について 今後、29年度まで実施した談話分析の結果を踏まえて、保育所および幼稚園のデータを用いて、保育経験年数という要因を加えて、保育者の記述内容についてテキストマイニングを用いて内容分析を行い、その研究結果を日本保育学会および日本教育心理学会にてポスター発表を行う。 ②電子連絡帳のデータの入手について 県内に限定せず、大都市圏に範囲を広げ、すでに導入済みの園から協力を得るための努力を続ける予定である。ただし、一部の園からは個人情報保護の観点から断られる事案も生じており、個別の保護者に協力を請う形も考えていかなければならない。 ③電子連絡帳の内容分析について 入手した電子連絡帳の内容をテキストマイニングを用いて分析を進める。
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Causes of Carryover |
(理由) 当初計画では当該年度には電子連絡帳を協力園で導入・使用し、電子連絡帳と手書き連絡帳の内容などにおける比較検討を行う予定であったが、保育所・幼稚園などを問わず、静岡県内では保育の地域密着性から電子連絡帳の導入に否定的な見方が主流であり、電子連絡帳の導入に伴う費用が発生しない状況にあったため。 (使用計画) 次年度研究費と合算して使用する。
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Research Products
(2 results)