2017 Fiscal Year Annual Research Report
Chemical biology of multifunctional transporter GTR1
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16K13083
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上田 実 東北大学, 理学研究科, 教授 (60265931)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 輸送体 / GTR1 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物ホルモンは植物のほぼ全ての生理機能制御に関わり、その植物体内での時空間的分布は輸送体タンパク質によって厳密に制御されている(Science 1998, 282, 2226; PNAS 2010, 107, 2361; Nature 2012, 483, 341; Nature Commun. 2014, 5, 3274)我々が発見したGTR1 は、53 種の膜輸送体が属するNPF ファミリーのメンバーである(Nature Commun., 2015, 6, 6095)。 我々は、アフリカツメガエル卵母細胞における異種発現系を用いてGTR1 二量体形成を確認し、酵母異種発現系に植物ホルモン受容体を発現させた系を用いて、GTR1 と他のNPF ファミリー輸送体とのヘテロ二量体形成による輸送機質の変化をスクリーニングする実験方法を用いた。 GTR1 二量体形成を確認のために、split-Venus を用いるBiFC 実験によってGTR1 の二量体形成を評価できるアフリカツメガエル卵母細胞実験系を構築し、GTR1 中のThr135 がリン酸化/脱リン酸化により単量体/二量体となることを確認した。我々は、GTR1 中のThr135 がリン酸化されると単量体、脱リン酸化されると二量体となることを確認したが(Plant Signal. Behav., 2017, e1334749)、その際、パートナーによって輸送基質のスイッチングが起こる(未発表)。酵母を使ったスクリーニングにより、GTR1 ホモ二量体はグルコシノレートの輸送体として、また他のNPF メンバーとのヘテロ二量体GTR1-NPF4.1/1.2 はそれぞれJA-Ile/ジベレリンの輸送体として機能することが分かった。GTR1 はこれまでの輸送体の概念を塗り替える全く新しいタイプの輸送体であり、我々が偶然発見したこの画期的な現象は、二量体形成の制御によって植物ホルモンなどの体内分布を人為的に制御できる可能性を示唆する。今後は、外部からの化学物質投与による輸送体機能の薬剤制御は極めて魅力的であり、植物ホルモンの体内分布制御に基づく画期的な植物成長調節剤を開発する。
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