2016 Fiscal Year Research-status Report
ヘム代謝副産物であるCOの生理機能全容解明へのアプローチ
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16K13092
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
北岸 宏亮 同志社大学, 理工学部, 准教授 (60448090)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ガスバイオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は細胞内における内在性一酸化炭素(CO)を研究対象とし,集中的に検討を行った.いくつかの試行錯誤の結果,COレセプター分子であるhemoCDに細胞膜透過性ペプチドであるオリゴアルギニンを付与することに成功した.オリゴアルギニンを有するhemoCD誘導体であるR8-hemoCDは,従来のhemoCDと同等のCO親和性,CO選択性,安定性を示した.さらに細胞内においてCOを選択的に捕捉する現象を,細胞内COプローブであるCOP-1と組み合わせた実験系によって証明することに成功した.また,細胞内や組織中に含まれる内在性COを定量するための"hemoCDアッセイ"を確立した.この方法を用いれば,内在性COの量,すなわち体内でのヘムオキシゲナーゼ活性を極めて簡単に測定することができる.以上の成果をJournal of the American Chemical Society に投稿し,平成29年4月7日にオンライン掲載された.今後,このhemoCDアッセイおよびR8-hemoCDを用いて,共同研究などにより内在性COの生理作用をさらに調べていく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
hemoCDを使った内在性COの生理機能探索のひとつとして,活性酸素種との関連性を見出した(JACS2017). 今後さらに新たなCOの生理作用探索を行う.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究から内在性COを除去すると細胞内ROSが上昇することがわかり,ミトコンドリア活性との関連性ではないかと考察している.今後,R8-hemoCDによって内在性COを除去した細胞におけるミトコンドリア活性を詳細に調査し,これまでに知られていない内在性COによる細胞呼吸の活性調節について言及できるような研究を展開していく.
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