2016 Fiscal Year Research-status Report
光安定性超分子型 蛍光色素の開発と生体イメージングへの応用
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16K13102
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水上 進 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (30420433)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超分子化学 / 蛍光色素 / 光安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
蛍光色素の光安定性を向上させる戦略として、超分子化学を利用した超分子型蛍光色素の開発を行った。これは、有機ホスト分子がゲストである蛍光色素分子を包接した超分子複合体を形成することにより、物理的に酸素などの反応性分子から保護し、色素の光安定性を向上させるという試みである。本年度は有機ホスト分子として、cucurbit[n]urilを用いて、検討を行った。様々な蛍光色素とcucurbit[7]uril (CB7)およびcucurbit[8]uril (CB8)を共存させ、その吸収スペクトルを測定した。CB類は水素結合のアクセプターとして働く複数のカルボニル基を有していることから、カチオン性の色素において良い取り込みが観察された。特に立体的に包接されやすい構造のpyronine YはCB7およびCB8の双方に強く取り込まれ、550 nm付近の吸収極大値が減少し、550 nm付近のに吸収極大値が上昇するという顕著なスペクトル変化が観察された。続いて、これらのpyronine Y-CB錯体の緩衝溶液にXeランプで光照射を行い、その光安定性を調べた。大気下およびアルゴン雰囲気下の双方で、光退色性を評価した結果、大気条件下でCB7錯体が顕著な光安定性の向上を示した。一方、CB7よりも強く錯体を形成したCB8においては、大気下、アルゴン雰囲気下の双方において、目立った光安定性の向上は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
pyronine Yがホスト分子(cucurbit[7]uril)に包摂されることによって、特に大気条件下で光安定性が向上することを明らかにした。また、ホスト分子のサイズを変えることで、蛍光色素の光安定性の向上の程度に差が出ることを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
光安定性向上のメカニズムの考察を行い、さらなる光安定性向上を目指す。また、異なる原理に基づく光安定性向上戦略の開発も合わせて行う。
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Causes of Carryover |
年度内に購入予定であった物品(光照射装置)の選定に時間がかかり、購入が次年度にずれ込んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に予定していた物品購入の為に使用する。
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Research Products
(11 results)