2016 Fiscal Year Research-status Report
幼少期ストレスによる衝動的攻撃性の増大と前頭前野神経回路変化
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16K13111
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
畠 義郎 鳥取大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40212146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一坂 吏志 鳥取大学, 医学部, 助教 (50359874)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 前頭前野 / 扁桃体 / 神経回路 / ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
主として感覚系の研究から、脳機能と神経回路の成熟は幼少期の経験に大きく影響され、しかもその影響は生涯にわたることが知られている。しかし社会性や人格を司る前頭葉機能の発達については回路レベルの研究はいまだほとんど進んでいない。そこで本課題は、幼少期ストレスにより衝動的攻撃性が増大する動物モデルを用いて、その責任回路と考えられる前頭前野眼窩前頭皮質から扁桃体への神経投射を解析する。これにより幼少期の経験が前頭葉神経回路の変化として保存され、成熟後の行動に影響をおよぼす可能性を探る。 まず眼窩前頭皮質が衝動的攻撃性に影響することを確認した。眼窩前頭皮質の活動を抑制すると、衝動的攻撃性が増大が認められた。次に衝動的攻撃性に影響する幼少期ストレスモデルを確立した。変化するかを調べた。幼少期の単独飼育と慢性的電気ショックを組み合わせたラットモデルである。これらの動物では、成熟後に電気ショック誘発闘争試験により衝動的攻撃性の増大が認められた。以上の結果から、このモデルでは、幼少期のストレスにより眼窩前頭皮質および関連領域の機能発達が影響を受け、それが成熟後の衝動的攻撃性の増大につながると考えられる。このような育児放棄・身体的ストレスの両方を与える幼少期ストレスモデルは初であり、成熟後の衝動的攻撃性の増大が顕著であることから、有用な新規児童虐待モデルである。 この動物の眼窩前頭皮質に順行性神経トレーサーを注入し、投射軸索を標識した。扁桃体を含むいくつかの脳領域に標識軸索を確認した。これにより眼窩前頭皮質からの投射軸索の形態等を解析する準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題は、幼少期ストレスにより衝動的攻撃性が増大する動物モデルにおいて、前頭前野眼窩前頭皮質から扁桃体への神経投射に変化があるかを検討することを目的とする。そのためにはまず動物モデルが適切である必要がある。これまでに眼窩前頭皮質の活動を薬理学的手法により局所的に抑制することで、実際に動物の衝動的攻撃性が増大することを確認し、論文として公表することができた。このことは本課題が眼窩前頭皮質-扁桃体投射に注目する妥当性を確認するものである。幼少期ストレスモデルについても、衝動的攻撃性の増加を確認する実験を行い、国内学会で発表予定である。眼窩前頭皮質から扁桃体への投射軸索については、その標識法を確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに前頭前野眼窩前頭皮質が動物の衝動的攻撃性を抑制していることを示すことができた。幼少期ストレスモデルについては、今後、衝動的攻撃性が増大していることをさらに検証し、取りまとめる予定である。 それらの動物において眼窩前頭皮質-扁桃体軸索を標識する手法は確立したので、まずその解析手法を検討する。具体的には単一軸索形態の再構成法と、投射軸索集団の密度の評価法をそれぞれ検討する。それにより眼窩前頭皮質から扁桃体のどの部位に多く投射があるのかといった基本的知見を得た上で、幼少期ストレスモデルでの投射に変化が見られるかを検討したい。
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Causes of Carryover |
モデル動物作成について学会発表や論文投稿を予定していたが、確認実験により若干成果発表の時期が遅くなった。そのため昨年度の成果発表にかかる費用が少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の成果発表については今年度行なう予定であり、そのための費用として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)