2016 Fiscal Year Research-status Report
サイクロン減災「在地の技術」の技術移転に関する地域研究における社会実験アプローチ
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16K13124
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安藤 和雄 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 准教授 (20283658)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | サイクロン減災 / 社会実験アプローチ / 在地の技術 / バングラデシュ / ミャンマー / 屋敷地 / 地域研究 / 技術移転 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はミャンマーのサイクロン減災対策の一つを確立することであるとともに、新しいタイプの技術移転を可能にする実学、設計科学としての地域研究の手法を社会実験により実践的に構築・実証することにある。隣国バングラデシュにはサイクロンや洪水被害対策が住民の経験と知恵が活かされた屋敷地という在地の技術がある。地域には固有で文化や社会習慣の壁があり在地の技術の移転は困難であった。本研究では両国のNGOと大学連携によって屋敷地造成を国を越えた技術移転に挑戦する。平成28年度は以下の研究活動を実施した。 1.定例会議(東南アジア研究所にて):実践型地域研究推進室との協働により、京滋フィールドステーション月例研究会での在地の技術に関する勉強会と打ち合わせを行なった。 2.バングラデシュでの屋敷地調査:バングラデシュにはIS事件の混乱により日本人が参加しての現地調査が困難であったために、バングラデシュの現地NGOのJRDSとDUS、バングラデシュ農業大学(BAU)の協力によって、沿岸部タイプ(ベンガル湾の潮汐の影響とサイクロンの強風を受ける:ハティア郡)と内陸氾濫原タイプ(大河の氾濫原で2~3mの深湛水の洪水を受ける:カリハティ郡)でPRA(参加型速成農村調査)を実施し、BAUのRahman氏が他の関連事業で3ヶ月間の京大滞在の折にバングラデシュの屋敷地造成のマヌアル(英語版)を作成した。 3.ミャンマーでの屋敷地調査 屋敷地造成を予定している、NGOのFREDAの活動地域の集落において、FREDAの協力を得て屋敷地造成に関係した社会状況や農業と塩害などについて、京都大学大学院ASAFAS博士課程院生岡田氏、東南アジア研究所連携研究員赤松氏、安藤がイエジン農業大学のカウンターパートと協働実施した。成果は一部は、2017年1月にイエジン農業大学で開催された国際会議で岡田氏が発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の交付申請書に計画した研究活動をほぼ実行しえている。しかし、「ミャンマーにおける既存の既存の屋敷地の構造とサイクロン減災機能」に関する調査は岡田氏がその一部を実施しているが、生態特性などに関して情報が不足している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に計画していた「ミャンマーにおける既存の既存の屋敷地の構造とサイクロン減災機能」に関する調査は岡田氏がその一部を実施しているが、生態特性などに関して情報が不足しているので補足調査を行い、それをまって英語報告の作成とそのミャンマー翻訳版を平成29年度に完成させるように計画を修正した。また、ミャンマーでの社会実験実施村での村全体の合意形成やそのためのミーティングが不足していると現地カウンターパートとの協議で判断されてことから、慎重を期すために平成29年度の前半に準備を慎重にすすめ、それをモニターする。5月下旬には雨季に入りかつ地下水が上昇することから屋敷時造成は12月末まで困難となる。屋敷地造成は2017年1月に行うことを現地間ターパートと打ち合わせを行っていて、それに向けて実験村でもリーダーや屋敷地造成に土地を提供してくれている農家とも協議しているので、1月に造成作業を行う。したがって、調査は5月から7月、や参加型ワークショップは雨季明けの乾季に実施するように計画を変更する。
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Causes of Carryover |
平成28年度末に予定していた屋敷地調査の一部(とくに生物資源利用)や村社会の造成に関するコンセンサスつくりのプロセスモニタリング調査などが村との会合の準備不足や、屋敷地作成時期(1月が適期、当初は5月を予定していたが天候や地盤の状況で5月は困難)ということで、屋敷地造成を遅らせることになったのでそれに伴い屋敷地調査も準備に時間をかけることがよいと判断して平成29年度に以降したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
屋敷地調査との合意形成などの屋敷地造成準備を平成29年度に、5月から7月に実施する。
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Remarks |
Webに入るためには、実践型地域研究推進室のWeb https://pas.cseas.kyoto-u.ac.jp/index.htmlに入り、そこから研究活動をクリックして、サイクロン減災「在地の技術」の技術移転に関する地域研究における社会実験アプロ ーチ のWebを開設してください。
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