2016 Fiscal Year Research-status Report
連帯型小規模フェアトレードのブランディングと文化交流による両地域活性化の研究
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16K13130
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Research Institution | Kobe Design University |
Principal Investigator |
川井 広之 (かわいひろゆき) 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (10341017)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | フェアトレード / ブランディング |
Outline of Annual Research Achievements |
A:フェアトレードおよびフェアトレード・コーヒーの現状把握……[1]国内2番目にフェアトレード・タウンに認定された名古屋市で開催された「フェアトレードコーヒー・サミット in NAGOYA」を視察。フェアトレード・コーヒーに関わる10事業者の対談と、全国19事業者のコーヒーの試飲が行われ、アジア、アフリカ、中南米におけるフェアトレード・コーヒーの情報収集と、各出展者への簡単な聞き取り調査を実施。 [2]名古屋市のフェアトレード・タウン運動推進の中心人物、原田さとみ氏(フェアトレード名古屋ネットワーク代表)を訪問し、運動についての聞き取り調査を実施。また、名古屋市内のフェアトレード・ショップ「エシカル・ペネロープ」「オゾン」「フェアビーンズコーヒー『樟木館カフェ』」「フェアトレードショップ風's」を視察し、ショップの現状について調査した。[3]ネパールのカトマンズおよびポカラのフェアトレード・ショップ「WOVEN」「ルーラル ネパール ウーマン ハンディクラフツ」を視察。さらに各工房を見学し、労働者から直接話を聞いた。また、ヒマラヤンジャワ バリスタ コーヒースクールの見学、ハイランドコーヒーの工場見学を行った。加えて、シャンティシャンティ珈琲農園のあるシャンジャ群農業事務所やJICAを訪問。ネパールの農業についてレクチャーを受けた。 B:ブランディングの対象であるシャンティ・シャンティ珈琲農園についての情報収集……[1]豊川市にある直営店「Mol Cafe」を視察。コーヒーを中心とするメニューの確認と店舗イメージ、客層などを把握した。[2]ネパールの農園を現地視察。農園全体および精製所などの周辺施設や環境の実態を把握し、農園労働者5名の自宅を訪問し話を聞いた。 上記AとBにより、ブランディングの基礎となる情報収集を目的とする各調査を行い、それぞれ概要の把握に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ネパールのコーヒーをフェアトレードで生産・販売する「シャンティ・シャンティ珈琲農園」のブランディングにあたり、初年度は、「フェアトレード全般について」「フェアトレード・コーヒーについて」「シャンティ・シャンティ珈琲農園について」の3方向から実態把握のための情報収集を行った。 生産地ネパールについては、実質9日間の現地調査により、農園はもとより、都市部のフェアトレードショップや工房、また行政のバックアップの現状、日本のJICA担当者からのヒヤリングなど、当初の予想以上に大きな成果をあげることができた。 販売地日本については、特にフェアトレード・タウンに認定された名古屋市を中心に、上記3方向について情報収集を行った。全体的な概要把握という初年度の目標は、概ね達成されたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究全体の計画として、当初、[1]シャンティ・シャンティ珈琲農園と現地地域社会の現状調査、[2]日本の珈琲市場の現状調査、[3]シャンティ・シャンティ珈琲の商品力分析、[4]日本の「連帯型」フェアトレード小規模事業者の実態調査、[5]相互理解のための文化交流の検討と実験的実施、[6]ネパールの社会問題と日本における地域活性化、障害者支援の探求、[7]研究のまとめと「連帯型」フェアトレードの新しいモデルの提案を掲げたが、[7]の研究成果のまとめに向けて、以下のように研究ポイントを絞り推進することとする。 まず[1]は、初年度の現地(ネパール)視察で予想以上に成果が上がったため完了とする。 今後の研究の推進方策は、2年目は、具体的なブランディング作業として[3]のシャンティ・シャンティ珈琲の商品力分析とデザインへの落とし込み、および[4]の日本の「連帯型」フェアトレード小規模事業者の実態調査(マーケティング作業)を行う。 続く3年目は、ブランディングの成果物の客観的評価を行い、[7]の研究のまとめとする。 [2][5][6]は研究ポイントから外したが、[2]はブランディング作業に含めることとし、[5][6]は研究上の重要度としてプライオリティを下げる判断をした。 上記判断により、「連帯型」フェアトレード小規模事業者のブランディングに集中することでフェアトレードの活性化に貢献するという研究目的がより明確化された(相互理解による文化交流や障害者支援は、フェアトレードの活性化の先に実現されていくことでもあると考える)。
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Causes of Carryover |
当初の計画ではネパールの現地調査を9月と3月の2回に分けて予定していたが、1回目の調査を具体的に計画する時点で先方のアポイントメントが効率よく取れたため、1回の現地調査で予定の調査をほぼ終了することができた。 また、研究を進める過程で、国内の連帯型小規模フェアトレード事業者の現状調査と研究対象であるシャンティ・シャンティ珈琲農園のブランディング作業に集中することが重要と判断した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1.国内の連帯型小規模フェアトレード事業者、特にコーヒーを扱っているところのマーケティング面の聞き取り調査。 2.シャンティ・シャンティ珈琲農園のブランディング作業(コピーライターやマーケターといった専門家を入れての作業)。 3.ブランディングの成果物としてのパッケージデザインやパンフレットなどの制作費。
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