2017 Fiscal Year Research-status Report
連帯型小規模フェアトレードのブランディングと文化交流による両地域活性化の研究
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16K13130
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Research Institution | Kobe Design University |
Principal Investigator |
川井 広之 (かわいひろゆき) 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (10341017)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | フェアトレード / ブランディング / エシカル / 一村一品運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目にあたる29年度は、以下A・Bの2方向で研究を進めた。 A:フェアトレードおよびフェアトレードショップの実態調査。 B:シャンティ・シャンティ珈琲農園の商品(コーヒー)のブランディング作業。 A……[1]フェアトレードタウン運動の浜松における実態調査を実施した。「フェアトレード全国フォーラムin Hamamatsu」に参加し、日本で4番目のフェアトレードタウンを目指していた浜松の運動について、各フェアトレードショップ、NPO団体、行政、大学がどのように連携して運動を推進していったかを調査した。また、熊本や名古屋など、すでにフェアトレードタウンに認定されている各都市の諸団体との連携も調査した。[2]フェアトレードショップの実態調査。オーナーがフェアトレードに積極的に取り組んでいる「あさのは屋」「Anny Coffee」「ハニココスイーツ」「knot」「エシカルペネロープ」「cont」「シサム工房」の各ショップを対象に、フェアトレードに対する考え方や取扱商品、経営面などについて聞き取り調査を行った。[3]フェアトレード関係のイベント参加。フェアトレードセミナー「伝統工芸×フェアトレード×ファッションで持続可能な未来を!in白鳥庭園」、「フェアトレードタウン名古屋のススメ~フェアトレードで社会の課題を解決しよう!」「ツキイチマルシェ」に参加。NPO団体や企業などのフェアトレード関係者が模索するフェアトレードの未来について、さまざまな観点を知ることができた。 B……ブランディング作業として、シャンティ・シャンティ珈琲農園の特性から商品コンセプトを明確化し、外部コピーライターに商品スローガンおよびネーミング案を発注。2度のミーティングと複数回のメールでのやり取りにより意見交換し、制作を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要で報告したなかで、Aの[1]フェアトレードタウン運動の実態調査と[2]フェアトレードショップの実態調査は、マーケティングの視点からみたフェアトレード産品の日本市場における実態を詳細に把握でき、ブランディング作業の基礎を固めることができた。[3]のフェアトレード関係のイベント参加では、新たな企業による伝統工芸とフェアトレードの結びつきや、エシカルという概念によるフェアトレードの社会的意味の拡張などが確認できた。進捗状況でやや遅れている点は、Bのブランディング作業である。当初のスケジュールでは29年度中にブランドコンセプトやネーミング案を完成させたかったが、30年5月時点での完成となり、2ヶ月弱の遅れとなった。今後は早急にパッケージなどのデザインサンプル制作に進みたい。
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Strategy for Future Research Activity |
ブランディングの過程でのデザイン作業を完成させ、成果物である複数のデザインサンプルをアンケート調査などにより相対評価を行う。また、本研究の成果をネット(独自のホームページなど)で情報公開する。 現在では定義が定まっていないが、「エシカル」というキーワードは、フェアトレードと価値観や社会的意義の多くを共有している。そのため、本研究にエシカルの観点を取り込むことで、ブランディングの独自性を高める。また、エシカルの観点からみたJICAの一村一品運動は、本研究の成果を応用し展開する場として大いに有効な場であると考えられるため、その可能性を検討する。
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Causes of Carryover |
(理由)昨年提出した使用計画にある、専門家としてのコピーライターを加えてのブランディング作業が2ヶ月ほど送れたため、謝金の支払いとサンプル制作費が年度を越えてしまった。 (使用計画)1.エシカルおよびJICAの一村一品運動についての調査費。2.ブランディングの成果を形にするパッケージやパンフレットなどのサンプル制作のためのデザイン費。3.デザインサンプルの相対評価のための(ブランディングの効果を計る)アンケート調査費。4.研究成果を情報発信するためのサイト制作費。
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