2016 Fiscal Year Research-status Report
屋久島における伝統的狩猟の生態学的役割と現代的展開に関する研究
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16K13131
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Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
服部 志帆 天理大学, 国際学部, 講師 (50512232)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 屋久島 / 伝統的狩猟 / フィールドノート / 文化 / 社会関係 / 世界自然遺産 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、申請者本人が4回、研究協力者の小泉都が3回の屋久島調査を実施した。調査では、半世紀前に川村俊蔵博士が記したフィールドノートの情報提供者の子孫に会い、半世紀前の聞き取りについて情報公開の許可を求めることと、伝統的な狩猟活動に関する聞き取り調査を行った。30人近くいた情報提供者の子孫の大半に会い、情報公開の許可を得た。これをもとに、半世紀前の猟師が行っていた狩猟や交易活動についてまとめ、屋久島学会で発表を行った。また、川村俊蔵博士のあとからヤクザルの研究を行ってきた京都大学理学研究科の研究室において研究発表を行い、ヤクザルの研究者とともに川村俊蔵博士の残したフィールドノートを検討した。また、東京在住の屋久島出身者に聞き取り調査を行い、半世紀前の猟師の生活や文化についての情報を得た。このようなフィールドノートの復刻のほかに、現代の狩猟活動についての聞き取り調査を行った。また、世界遺産の科学委員会の会合に参加し、屋久島で問題となっているシカ問題とその解決のために猟友会がシカの駆除を行う計画について情報を収集した。猟友会の役割の大きさは否めないものの、猟友会のなかには狩猟がリクリエーションから金銭的なものに変わったことに大きな不満を抱えているメンバーや人間関係の崩壊に警笛を鳴らすメンバーが存在することが明らかになった。今後猟友会のなかで、狩猟の社会的文化的価値を維持しながらどのように世界遺産の管理を行っていくべきなのか、さらに研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4回のフィールドワークを実施することができ、半世紀前の猟師の子息の多くに会うことができた。情報公開の許可がえられ、これをもとに屋久島学会で発表を行えた。現代の猟師に対する聞き取り調査から、伝統的な狩猟に関する情報も集まりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、川村俊蔵博士のフィールドノートをシカ、サル、民俗などというカテゴリーに分けて情報を分類し冊子を作ったのち出版をおこなう。川村博士のノートと伝統的な狩猟についての聞き取りをもとに過去の狩猟活動を検討し、現代にいたるまで狩猟活動の変遷を明らかにする。
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