2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K13150
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 雅彦 京都大学, 情報学研究科, 名誉教授 (20027387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋吉 亮太 早稲田大学, 高等研究所, 助教 (20587852)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | フレーゲ論理学 / 概念記法 / 無矛盾性 |
Outline of Annual Research Achievements |
フレーゲは、「数学を論理に還元する」論理主義を実行するために、史上初めて高階述語論理を完全な形で整備し、分析哲学の源流となり、同時にヒルベルトの形式主義への道を開いた。しかしながら、フレーゲがその著書『Grundgesetze der Arithmetik』で構築した論理体系は、ラッセルが指摘した有名なパラドックスにより矛盾を含むことが明きらかになった。そのため体系が不備であることの原因を究明する研究はほとんどなかった。本研究はその根本原因を証明論的および意味論的手法により解明することを目指す。 本年度はフレーゲ論理学に関して,(i)フレーゲの無矛盾性証明の分析 (ii)フレーゲの『概念記法』における記号法の分析,という二つの課題に取り組んだ. (i)については伝統的証明論の手法を適用することでフレーゲの無矛盾性証明の失敗の原因を明らかにすべく取り組んだ.分担者である秋吉はパリ第一大学科学史・科学哲学研究所で伝統的証明論の手法であるΩ規則に関するレクチャーを行い,「意味の分析」として見直せることを示唆した.この手法とフレーゲの証明との間に一定のつながりが見いだせることが期待される.パリ第一大学のアルベルト・ナイーボ准教授,マティア・ペトローロ博士,エクス=マルセイユ大学のパオロ・ピストーネ博士と討論を行ったが,今後も議論を継続する. (ii)については代表者である佐藤が関連する論文を『科学哲学』からすでに出版しているが,歴史的により詳細な研究を行うために文献調査を行った.その結果,マッギル大学のダーク・シュリム教授の研究にたどり着き,コンタクトをとった.その結果,ダーク・シュリム教授と今後議論を行うことになった. また、フレーゲのラテン文字の使用法に注目し、フレーゲの推論規則におけるラテン文字の役割について研究を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績で述べたように、フレーゲの無矛盾性証明の分析と フレーゲの『概念記法』における記号法の分析の2点について 期待した進展が得られたから。
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Strategy for Future Research Activity |
無矛盾性証明の分析に関しては、Ω規則と関連を引き続き研究する。 また矛盾の原因として考えられる非可述性については、型のないλ計算での計算規則との関連について研究をする予定である。 『概念記法』での記号法の分析に関しては、フレーゲのラテン文字の使用法に注目し、フレーゲの推論規則におけるラテン文字の役割について研究を行う。
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Causes of Carryover |
平成28年6月に腹腔鏡下胆嚢摘出手術を受け、そのため予定していた ドイツ出張(ミュンヘン大学 Helmut Schwichtenberg 教授との共同研究のため)を中止することになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度に実施できなかったドイツ出張の費用として使用する。
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Research Products
(2 results)