2016 Fiscal Year Research-status Report
新しい東洋的身心論とエコロジカル・エンボディメント理論の国際発信
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16K13151
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
河野 哲也 立教大学, 文学部, 教授 (60384715)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | エコロジカル・エンボディメント / 東洋的身心論 / 現象学 / 理論心理学 / 心の哲学 / 自己 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、心の哲学と心の諸科学を、東洋的身心論と新しい心の哲学と心の諸科学を融合させたエコロジカル・エンボディメント理論の観点から脱構築し、心の哲学と心の諸科学のための新しいパラダイムを国際的に発信することにあり、以下のことが具体的な目標になる。ひとつに「新しい身心の哲学」という国際連絡会を設立し、洋の東西を超えて新しい身心論を展開するグループを形成する。第二に、2016年国際心理学会、2017年国際理論心理学会、2018年世界哲学会という重要な国際学会で連続性のあるシンポジウムを企画する。そして、東アジア現象学会、東アジア現代哲学会でシンポジウムを開催する。 H28年度は、予定通りに、31回国際心理学会(ICP: 31st International Congress of Psychology)にて、連携研究者である伊東氏、田中氏に加え、トマス・カスリス氏(Thomas Kasulisオハイオ州立大学)を発表者として招聘シンポジウム「自己、身体、心の統合的研究:洋の東西を超えて」を開催した(基盤(A)24242001と共催)。また、6月には南山大学宗教文化研究所が主催で行われた Views of Watsuji Tetsuro from around the Worldでの研究発表、12月には東京大学で開催された東アジア現象学会(PEACE)では「エコロジカル・エンボディメント」の観点に立った研究発表を行った。以上に加えて、2冊の共著論集を出版した。同時に、2017年度、研究代表者の所属大学で行われる国際理論心理学会(ISTP)に向けての事前準備(シンポジウム、招聘講演会)を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書で計画したシンポジウムや学会での発表はすべて実施した上で、それらの発表はかなり好評であった。また、研究例会などを通して連携研究者と緊密な交流を果たすことができた。H28(2016)年度の研究発表で出会った諸外国の研究者と、H29(2017)年度以降の研究交流や国際学会での共同発表やシンポジウムの企画を約束し、目標である「新しい身心の哲学」という国際連絡会を設立する足がかりを築いた。また、共著論集を2冊発表できたことも重要な貢献であると言える。H29(2017)年度に開催される国際理論心理学会や国際日本哲学会、日中哲学フォーラムに予稿を投稿し、発表登録をすることができたため、計画した以上の国際学会で本テーマに関わる研究発表やそのオーガナイズを担当することになる。
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Strategy for Future Research Activity |
H29(2017)年度は、研究代表者の本務校で、代表者を開催校代表として国際理論心理学会が8月開催されるが、ここでのいくつかのシンポジウムや講演会で本研究の主題を追求した研究発表を組織する予定であると同時に、目標である「新しい身心の哲学」という国際連絡会を設立する提案を積極的に行う。また、7月には、国際日本哲学会が台湾で開催されるがここでも東洋的・日本的な身体自己の概念について発表する。9月には日本哲学会主催の日中哲学フォラームで、シンポジウムを企画して日中の比較哲学をオーガナイズする予定である。また香港で開催予定の東アジア現代哲学会(The Conference on Contemporary Philosophy in East Asia)では、新しい身心論に関連するシンポジウムないしワークショップを企画する予定である。同時に、現在フランスとの日仏文化比較研究会(哲学思想、人文地理学、文化人類学)を数度にわたって展開しており、これを本研究のテーマとつなげながら、国際連絡会に統合していくことを試みる。
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Causes of Carryover |
今年度はたまたま国際学会や研究会が国内で開催され、共同発表者も他の研究費などで参加したため、旅費や物品費などは使わずに節約し、H29(2017)年度に開催される国際学会(理論心理学会、日中哲学フォーラム、日仏比較文化研究会、東アジア現代哲学会)などへの出張や招聘費用のために利用するように繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H29(2017)年度に開催される国際学会(理論心理学会、日中哲学フォーラム、日仏比較文化研究会、東アジア現代哲学会)などへの出張や招聘費用のために利用すると同時に、H29(2018)年度に開催される世界哲学会でのシンポジウム企画のための諸経費に使うことにした。
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Research Products
(7 results)