2018 Fiscal Year Annual Research Report
Ethics and "Strength": Exploring Foundations of Social Ethics for the Concept of Resilience
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16K13153
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
奥田 太郎 南山大学, 人文学部, 教授 (20367725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森山 花鈴 南山大学, 法学部, 准教授 (40635702)
篭橋 一輝 南山大学, 国際教養学部, 准教授 (60645927)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | レジリエンス / 生態学的レジリエンス / 心理的レジリエンス / 社会的レジリエンス / 自殺対策 / 持続可能性 / ランドケア / 補完性原理 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間の最終年度となる本年度(2018年度)は、これまでに得られた知見に基づきながら、レジリエンス概念の社会倫理的基盤とは何かという問いに暫定的な回答を与えるべく、調査研究および理論的な研究を実施した。 2017年度に調査研究を行った茨城県水戸市の水戸桜川千本桜プロジェクトに関する二度目の視察を行ない、実際に桜が咲いている様子を見ることで、当該プロジェクトの実質を把握することができた。とりわけ、ソメイヨシノではなく、山桜の植生について学ぶことで、持続可能な文化的都市環境と桜の植樹に関するレジリエントな関わり方を支えるものについても、自律と連携のあり方に関する「補完性原理」が多くの示唆を与えることがわかった。 また、国立環境研究所のスタッフとの「持続可能性と倫理」研究会では、経済学領域において、自然資本をクリティカルなものとして位置づける方法、代替不可能性を措定することの理論的な可能性、消えつつあるものを無理に残さないことで実現されうる価値のあり方などについての検討が行われ、レジリエンスと持続可能性を媒介するものについての考察を進めることができた。 これまでの研究を通じて、レジリエンスの社会倫理的基盤を考えるうえで鍵となる原理は、持続可能性だけでなく補完性も含まれるとの見通しが得られたため、その見通しの妥当性を予備的に検討すべく、ランドケア実践の本拠地であるオーストラリアを訪れ、様々な実践のなかに補完性原理の適用が認められうるかどうかを探った。この訪問を足がかりに、本研究課題をさらに発展させる新たな共同研究の見通しを得ることができた。
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Research Products
(13 results)