2016 Fiscal Year Research-status Report
イラン音楽における身体性の研究~各楽器固有の身体感覚・語法、その交差~
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16K13165
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
谷 正人 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (20449622)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 身体性 / イラン音楽 / アレクサンダーテクニーク / ミュージッキング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は夏に他の科研で分担者となっている調査のためインドに赴く必要があり、イランには調査に行くことができなかったが、その分、音楽家の身体性理解のかなめとなる概念であるアレクサンダーテクニークについては、国内で数多く調査を行い理解を深めることができた。アレクサンダーテクニークとは、主に演劇や音楽の分野で近年注目されている、パフォーマーのための効果的な体の使い方を考えていく分野である。体の使い方という点では身体性という本研究のキーワードに直接関わってくるものであるが、理解を深めてゆくと明らかとなってくるのは、身体の使い方は、身体を使う際の「意図」とも大いにかかわっているという点である。その有無や種類・持ち方によって同じ動作がうまくいったりいかなかったりというような様々な事例を多くのワークショップに参加することで如実に観察することができた(その記録はすべて映像で残している。その参与観察は月平均2回ほどの頻度でおこなった)。その結果このアレクサンダーテクニークはつまるところ、身体の問題は、身体だけではなく周囲の環境とのつながり方によって左右されるものであることに思い至った。実はこの考え方は民族音楽学では既知であるミュージキング概念に非常にちかい。ミュージッキングとは音楽を作品や音としてだけではなく、それを生み出そうとするすべての活動や行為としてとらえようとする概念であるが、アレクサンダーテクニークもミュージッキングもともに、音を音としてだけとらえようとするのではなく、まずは身体、そして身体以上にそれを包み込む環境全体と音楽を考えようとしているという点において非常に近いものがある。本年度はイランでの調査はかなわなかったが、国内において今後の研究の方向性となる、この2つの概念についてしっかりとした足形固めを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は夏に他の科研で分担者となっている調査のためインドに赴く必要があり、イランには調査に行くことができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年の遅れを挽回するために、夏には一か月のイラン調査を予定している。またアレクサンダーテクニークを集中的に理解する機会も多く設けている。国内ではゴールデンウイークにアレクサンダーテクニークアソシエイツによる集中イベントへの参加、および6月末にシアトルで行われるアレクサンダーテクニーク教師キャシーマデン氏のワークショップへの参加を予定している。
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Causes of Carryover |
他の科研の分担者としてインド出張をしたため、イラン出張を行う時間がとれず次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
夏に一か月のイラン調査を行う予定である。またシアトルにもアレクサンダーテクニーク教師キャシーマデン氏のワークショップに参与観察をするための赴く予定である。
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Research Products
(3 results)