2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study on physicality in Iranian music
Project/Area Number |
16K13165
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
谷 正人 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (20449622)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | イラン音楽 / 身体性 / アレクサンダーテクニーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、多種多様な楽器を擁するイラン伝統音楽を対象に、専門楽器を異にする様々な演奏家たちが、イラン音楽という共通の土台を経験しつつも、どのように互いに異なった身体感覚を持ちながら音楽を営んでいるのかを考察するものであった。この目的に照らし合わせ、本研究では、イランにおいて以下の複数の声楽や楽器に対し、研究代表者自身がレッスンを受けるという形での参与観察を行った。その成果は、特にウード(発展的にはセタール・タール)という楽器の身体性をサントゥールのそれと比較する観点から「指で感じ理解すること ―楽器間で異なる身体感覚の研究にむけて」『イラン研究 , 13』 , 136-149として結実した。 また研究代表者はサントゥールという楽器については経験が長いため、同一楽器内での身体性の差異という観点からサントゥール演奏の身体性の考察を行った。具体的には「同じフレーズが如何にサントゥール奏者ごとに異なったばち使いで演奏されているのか」「ばちの握りかた、手首の角度、姿勢の違いがフレーズにどのような影響を与えているのか」「同じフレーズであっても、各奏者がサントゥール盤面上のどの場所を打弦しているのか、それによって音色などにどのような影響があるのか」 といったテーマで考察を行い、サントゥール演奏を従来型の身体性と、新しい身体性とに大きく分けて論じた「サントゥール演奏の新しい身体性――「楽器盤面の地政学」へ向けて」西尾哲夫/水野信男編『中東世界の音楽文化 うまれかわる伝統』 , 98-115として成果を発表した。また音楽家の身体理解の観点から有益なアレクサンダーテクニークについては「ミュージッキングとアレクサンダー・テクニークとの共振:私たちが諸民族の音楽から学ぶもの」という論文をナカニシヤ出版から『音楽文化学とまなび』所収論文として2019年度中に発表予定である(原稿は提出済み)。
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