2016 Fiscal Year Research-status Report
共創的芸術実践が効果をもたらす仕組みに関する社会学的・認知科学的研究
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16K13166
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中村 美亜 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (20436695)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 共創 / 芸術 / 認知科学 / 文化社会学 / 熊本地震 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】21 世紀に入り、アーティストが一般参加者と作品やパフォーミングアーツを創造する共創的芸術実践の機会が増えている。本研究は、事例報告を収集・分析すると同時に、近年大きな発展を遂げている認知科学の成果と文化社会学の知見を統合的に活用しながら、いくつかの個別事例を詳しく調査することで、共創的芸術実践が個人や社会に効果をもたらす仕組みの理解を深める。特に実践に「参加」すること、芸術「表現」に携わること、成果が「表象」として社会に示されることによる効果を一旦分けて考え、概念モデルによって段階的に示すことで、共創的芸術実践を行う独自の意義や効果が生み出される仕組みを詳らかにすることを目的とする。 【2016年度】本年度の研究実績は2つに大別される。1つめは、4月の熊本大地震発生後の芸術文化活動に関する調査である。当初の予定では、共創的実践に関する基礎調査を実施することになっていたが、地震発生を受け、臨機応変に対応する必要があると考え、地震に関連した共創的実践を含む様々な芸術文化活動に関する情報収集に努めた。この調査は、筆者がこれまで行ってきた東日本大震災後の芸術文化活動に関する研究の発展とも位置づけられる。また、収集された情報の分類方法についても検討し、コード定義やカテゴリー定義を行った。収集された記事は、この分類方法に従い、分類整理された。 2つめは、当初の計画に沿った内容である。福岡、宮古島、イギリスなど国内外での共創的芸術実践の事例調査を開始した。イギリスでは学会発表も行い、研究協力者との意見交換も行った。 国内の研究協力者とも、これまでの調査結果に基づき意見交換を実施し、今後の研究の方向性について協議した。また「共創学会」の設立にも発起人として加わった。共創学会は2017年3月に設立記念大会を開催し、4月1日に正式に発足した(発足後は理事に就任)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記したように、熊本地震の発生に伴い若干の計画変更があったが、初年度としては、おおよそ予定通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
1年めに国内外の様々な研究ネットワークを構築することができたので、それらを活用しながら研究を進めていく。海外での学会発表も行う予定である。特に今年度は、共創的実践を通じて異なる効果が生まれ る仕組みやパターンを表す概念モデルの作成に努める。
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Causes of Carryover |
未使用額は8,307円である。支出する金額としては半端であったため、次年度に繰り越すことにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の旅費の一部として使用する予定である。
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