2018 Fiscal Year Research-status Report
共創的芸術実践が効果をもたらす仕組みに関する社会学的・認知科学的研究
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16K13166
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中村 美亜 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (20436695)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 共創 / 芸術 / 仕組み / モデル / 評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
①共創的芸術活動を検討するために必要な論点を整理した論考「アートと社会を語る言葉」を出版した(共編著『ソーシャルアートラボ』水曜社、2019年)。この論考では、アートとは何か、アートにおけるコミュニケーションがどのように行われているかを最新の社会学や認知科学の知見をもとに整理し、一般に言われる「アートの力」や「アートの価値」について再考した。 ②包括的な社会づくりに貢献する共創的芸術活動の評価に関する論考を、タリン(エストニア)で開催された国際文化政策学会(ICCPR)で発表を行った。評価については、次年度にも継続して研究する予定である。 ③文化庁との共同研究とも連携し、省庁自治体職員,事業実施団体・中間支援組織職員、個人事業主・アーティスト、専門家など23人にインタビュー調査を実施した。(共同研究の成果としては、編著『はじめての“社会包摂×文化芸術”ハンドブック』を2019年3月に刊行した。) ④上記①②③を発展させる形で、共創的芸術活動の効果をもたらす仕組みに関する発表を12月の共創学会で行った。その内容をさらに深めた内容の論文が、共創学会誌(創刊号)に掲載される予定である(2019年5月刊行予定)。「芸術活動における共創の再考:創造とエンパワメントのつながりを探る」と題された論文は、複数の人たちが関わる芸術活動における創造への関わり方やプロセスを再考した上で、「創出」と「語りなおし」に着目し、創造とエンパワメントの関係を探ることを目的にしている。結果として、個々の参加者が生かされる創造の方法を「創出」し、その方法で創造を行うことできた場合、「語りなおし」の契機が生まれ、創造とエンパワメントが両立することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
関連する他の研究プロジェクトとも連携させながら、成果を着実に論考にまとめ、出版に結びつけている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果についてまとめ、論文等で公開する予定である。
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Causes of Carryover |
計画していた研究が予想よりも低い経費で実行できたため、残額が生じた。残額は、フォローアップ調査と学会発表等の経費にあてる予定である。
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