2017 Fiscal Year Research-status Report
ソーシャリー・エンゲイジド・アートとしてのダンス:その理論と実践の探求
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16K13167
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
越智 雄磨 早稲田大学, 坪内博士記念演劇博物館, その他(招聘研究員) (80732552)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | コンタクト・ゴンゾ / contact Gonzo / 訓練されていない素人のための振付コンセプト / コンテンポラリー・ダンス / タスク / パフォーマンス |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の研究から得た知見をもとに、国際的に活躍する日本のパフォーマンス・グループであるcontact Gonzoの協力を得て、従来のダンスにおいて主流であった作品の概念から逸脱した観客の関与を重視した作品の試演を実施することができた。作者のメッセージを内包した作品をプロのダンサーが踊り観客に見せるという作品ではなく、観客の関与や参加に作品の形成が委ねられるタイプの作品をいかに成立させるか、という議論をcontact Gonzoと行なった。その結果、既存作『訓練されていない素人のための振付コンセプト』の1部と2部を一部改変するとともに続編となる3部を創作し、一般観客およそ200名を招き、公演後にはゲストとして舞踊研究者の外山紀久子氏と舞踊批評家の桜井圭介氏を招いて、パブリック・トークを実施した。 この作品は、基本的に誰もが行えるように振付の指示書を予め観客に渡しているところに特徴がある。1部、2部はcontact Gonzoのメンバーが観客の目の前で、実際に振付の指示書に基づいた行為を行うが、3部では、観客のほぼ全員が参加するものとして行われた。試演後のアンケート調査からも明らかとなったが、この公演では、参加者は従来のダンス作品を鑑賞するように作品の中のメッセージや情感を解釈するのではなく、参加することで自らの身体にかかる外的な負荷/変化に対して身体が否応なく処する自らの身体能力や運動感覚を駆使し、認識する機会となったと考えられる。3部ではバラバラのサイズの角材を他の観客の身体(肩や手、背中、脚部など)との間で挟み、維持することが振付のタスクとして課されるが、この状態を指してアンケートで「社会の縮図」のようだと指摘する観客もいたように、他者同士である観客たちが協同してタスクを実行することで、物理的、感覚的に繋がり一つの共同体を生成する様子を観察することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年目に実施する予定であった芸術家と協業しての試演が、芸術家との協議やディスカッションが順調に進んだため、1年早く実施することができた。1年目の研究成果とこの試演に対する分析と考察を行い、3年目にまとめる下準備が順調に整ったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目の主に文献研究を中心とした芸術のソーシャルエンゲイジメントや観客参加などの知見と、2年目に実際に芸術家と協同して実施した観客参加型の作品上演の結果を統合して、分析を行いたい。
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Causes of Carryover |
物品費が予想よりも低く抑えられたため、わずかに次年度使用額が生じた。次年度には当初予定していた使用額とあわせて、本研究の成果をまとめた冊子の作成に活かしたいと考えている。
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Research Products
(2 results)