2017 Fiscal Year Annual Research Report
Basic Studies on Comparative Religious Art History for Constructing an International Research Network
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16K13170
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋山 聰 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (50293113)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 美術史 / 宗教美術史 / 比較美術史 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年に引き続き、国内の宗教美術史、修験道建築史の専門家との意見交換を行ない、比較宗教美術史を展開させる上で有効なトピックの選定を進めた。8月には研究代表者を含む4名の研究者で熊野の新宮市を拠点に、大峰奥駈道や熊野古道小雲鳥越等を実地踏査し、宗教的造形物と周辺環境との関連性について様々な知見を得ることができた。併せて次年度4月の海外研究者による同市での比較宗教美術史に関わる研究会および6月の地中海学会大会中での比較宗教美術史に関わる催しについての打ち合わせも進めた。 夏季休暇期間には、フランクフルト、ベルリン、ドレスデン等において、宗教改革記念展等を実見し、宗教者と造形との関係についての比較美術史的研究の可能性も検討した。なかでもザクセン地方デーベルンにおいては、十字架降下儀礼に用いられた可動腕付き磔刑像の実見調査を行うことができ、造形を用いた儀礼についての比較研究にとっての新知見を得ることができた。 秋学期には、国際学士院連合の総会を記念しての講演会のために来日された西洋中世美術研究の碩学M.キャヴィネス教授と親しく議論を交わす機会を得、比較宗教美術史研究の将来性について、様々な観点から確認することができた。氏とは実際に東京国立博物館の運慶展や根津美術館の仏画展を見学しつつ、比較に資する観点の摘出を行なった。また独協大学の国際ワークショップでのA-M.ボネ教授との交流も有益であった。 3月に新宮市を再訪した際には、神倉山から速玉大社、阿須賀神社へと踏査し、地勢と聖なる造形に関わる比較美術史的研究に資する知見を収集した。 なお、昨年度と同様に、連携研究者二名と研究協力者若干名を交えて、年度中三度にわたり研究会を開き、 有効な比較のためのタームについて、それぞれの分野からの具体的事例を示しつつ議論を交わし、比較が有効に働くと思われるトピックの選別を進めた。
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Research Products
(2 results)