2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K13177
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
小林 翼 東京藝術大学, 学内共同利用施設等, 助手 (80771914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平尾 杏奈 東京藝術大学, 学内共同利用施設等, 助手 (90724526)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 金装飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、「データ収集・閲覧と技法の実践による、技法の特性を分析する」という計画にもとづき、基礎研究を行った。主な内容は1、データの収集。2、截金比較のための金装飾の研究である。
1、截金の新技法を開発するにあたり、截金で使用する金箔の特性を把握することは大変重要である。そのため今回はデータ収集のため、金箔の主な生産地である金沢の箔製作所に赴き、金箔の伝統的な製造方法を取材した。金箔工芸館などで関連資料の収集を行った。また、金沢での情報収集以外に国内外の金箔の特性の比較資料として、日本の金箔・ドイツの金箔・イタリアの金箔(欧州での金箔の製造はドイツとイタリアのみ)の収集を行った。西洋金箔は日本のものに比べ厚みがありサイズも小さく比較的扱いが容易であるため、日本の薄い金箔を数枚用いる截金技法とは違った、新たな截金技法への応用も期待できる。様々な方面から金箔に対する資料を収集することで、截金の材料である金箔に対する理解を深めることができ、技法開発の素材の検討材料としても、本研究にとってとても有意義な情報が取得できた。 2、研究計画に基づき、截金技法と比較するため、西洋絵画に使用される金装飾の技法研究および、習得を行った。 中世ヨーロッパの黄金背景テンペラ画には背景に金箔を用い、更に主題となるキリスト教の聖書に登場する人物の衣装の装飾に截金技法に類似した装飾技法(ミッショーネ)も存在するため、金装飾の多角的なアプローチは、本研究への応用を期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、計画通りデータ収集・閲覧の技法の一環として、金箔の資料を収取するため金沢へ情報収集を行った。金沢では金箔の製造工程を見学し、金箔の特性・性質などの情報を収集した。 他にデータ収集として、日本の金箔以外にドイツの金箔・イタリアの金箔などの資料収集を行った。 また、截金比較のための金装飾の研究視察の計画に基づき西洋絵画の金装飾の技法研究を行った。 しかし、研究代表者の妊娠により研究計画の進行が思うように進まず計画に遅れが生じた。具体的には、今年度は上記の研究に加えシルクスクリーンを使用した再現方法を研究・試作を行う予定だったが、先の理由によりシルクスクリーン作業を行うには身体的な負担が大きいため今年度は作業を中断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、代表研究者の出産のため産休を申請し研究を一時休止する。平成30年度に研究を再開予定である。 再開後には、28年度に収集した情報をもとにシルクスクリーンを使用した再現方法の研究、試作を行う。また、他の技法の中から截金技法の特質を再現できうる技法を選出・改良を加え、截金模様の作成を行う。 さらに、截金が施されている作品を対象に複製制作を行い、本研究で開発した新たな技法と古来の截金技法との比較・検証を行う予定である。
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Causes of Carryover |
代表研究者の出産のため産休を申請し研究を年度途中で一時休止することとなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
再来年度の研究再開後に、国内調査や技法研究での材料購入費にあてる。
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