2016 Fiscal Year Research-status Report
ヒトの目から見た芸術的質感を再現する三次元カラーマネジメントの研究
Project/Area Number |
16K13178
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
三橋 一弘 東京藝術大学, 学内共同利用施設等, 研究員 (50750783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
並木 秀俊 東京藝術大学, 学内共同利用施設等, 研究員 (00535461)
平 諭一郎 東京藝術大学, 学内共同利用施設等, 講師 (10582819)
麻生 弥希 東京藝術大学, 学内共同利用施設等, 研究員 (90401504)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | カラーマネジメント / 三次元 / 色彩 / 再現性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、芸術作品のデジタル上での色再現性を高めるため、芸術表現の視点から研究を行うことで、より人間の知覚に沿った三次元的なカラーマネジメントの研究をおこなう。実際の「もの」の色彩とデジタル上での色彩の差分を、色彩計を用いて立体的に数値化し、さらに芸術家の審美眼による微妙な色の判別を加え、感性によるオリジナルのカラープロファイルを構築するものである。 平成28年度は、デジタル上での色再現性を高めるため色彩差分を検証する対象となる色の選定並びに色材の具体的な選定を行うべく、当調査結果の色彩差分のグローバル展開も視野に入れ、古今東西の様々な芸術作品の色彩調査を実施した。 色彩調査に加え、デジタル入力、デジタル出力の結果も検証し、芸術作品のデジタル上での色再現性の現況を定性的に把握し、現在一般的に使用されているカラーチャートでのカラーマネジメントでは、人間が知覚する色よりも鮮やかになりすぎる、白い部分が明るくなりすぎる等、質感のある色材が再現されておらず、ディスプレイ上で可視化された色データと芸術作品の「見た目」の印象は、かけ離れている現状を確認した。 その現状認識に基づき、平成29年度の研究活動に向けて、高精細撮影の対象とする具体的な色材の選定並びに色材調達方法の検討を実施した。 また、当研究で重要視している、物理化学的な視点に偏重することなく芸術表現の視点に基づく質感を伴った色彩の重要性を含めた、質感を伴った複製文化財がもたらす社会的役割などについて、アフガニスタン情報文化省・UNESCO共催の国際学会などで発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)芸術表現に用いられる色材の計測・・・本格的な色材の計測作業に先立ち、複数の芸術作品を作品別に色材を計測することを通じ、平成29年度に幅広く色彩差分を検証する対象色と対象色材の具体的な選定を優先的に実施した。 (2)芸術家の審美眼による色の判別・・・本格的な色の判別作業に先立ち、複数の芸術作品を作品別に、作品の芸術技法や下地含めた色材による差分発生の状況を定性的に検証することを優先的に実施した。 (3)色情報・差分のアーカイブ・・・本格的なカラープロファイルの作成作業に先立ち、複数の芸術作品のデジタル入力・デジタル出力を通じて、平成29年度に幅広い色情報・差分を効率的にアーカイブする方向性を固めることを優先的に実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)芸術表現に用いられる色材の計測・・・平成28年度の研究活動を通じて選定した対象色と色材を集中的に計測することにより、効率的に色材計測を行うとともに固有色間で発生しうるであろう計測上の差分の特徴も合わせて相対的に検証していく。 (2)芸術家の審美眼による色の判別・・・平成28年度の研究活動を通じて部分的に把握した、作品の芸術技法や下地含めた色材による差分も判別基準の1つとし、集中的に判別することにより、効率的に色の判別を行う。 (3)色情報・差分のアーカイブ・・・色材計測時からデータベース構築方法をあわせて検討することにより効率的なデータアーカイブを実施し、新たな色区分の導入も感性によるオリジナルのカラープロファイルを制作する。
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Causes of Carryover |
研究遂行に関わる経費の無駄を省くため、色材の計測、色の判別の本格作業に先立ち、サンプル作業を定性的に実施し、手法の方向性確立を優先したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
高精細撮影の環境整備、デジタル入出力作業、色の判別作業などを短期集中的に実施し、カラープロファイルの作成を行う。
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Research Products
(1 results)