2016 Fiscal Year Research-status Report
世界諸地域の大衆音楽における「日本」表象の関係史的研究
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16K13183
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
輪島 裕介 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (50609500)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ポピュラー音楽 / J-POP / トランスナショナリズム / グローバライゼーション / ローカライゼーション / エキゾティシズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度に行った中心的な活動は、アフリカ系およびアジア系アメリカ音楽に関する気鋭の研究者であるケヴィン・フェレス氏(コロンビア大学准教授)の講演を中心としたイベント”The Changing the Same in Transnational Musicking”の主催である(7月15日、於大阪大学21世紀懐徳堂スタジオ)。講演は、ハワイにおける日系および日本人音楽家の活動と日本におけるハワイ音楽実践の相互作用を扱ったもので、大和田俊之氏(慶応大学教授)、高橋聡太氏(福岡女学院大学専任講師)、研究代表者の3者による解題とフェレス氏を交えた議論を行った。また、日本ポピュラー音楽学会全国大会において、大衆音楽のトランスナショナルな形成と拡散の歴史に関するラウンドテーブル「初期電気録音時代における世界音楽地政学」を企画した(12月15日、於立教大学。登壇者は大和田俊之、高橋聡太、葛西周の各氏)。 本研究の重要な目的であるネットワーキングに関しては、日本の大衆音楽を国外に紹介する英語番組『J-Melo』の制作責任者である原田悦志氏(NHK国際放送)の知己を得、日本音楽の国外(とりわけ欧米圏)での受容についてインタビューを行った。さらに、カルチュラル・スタディーズ学会大会「カルチュラル・タイフーン2016」(7月2-3日、於東京芸術大学)に参加し、東アジアおよび東南アジア各地の代表的なポピュラー文化研究者との交流を深めた。また、AAS(アジア研究学会)の年次大会でも発表を行い、そこでも世界の代表的なアジア研究者との交流を深めた(3月16‐19日、於トロント・シェラトン・センター)。 また、日本の演奏団体が深くかかわる台湾のカーニバル団体の現地調査も開始した。 加えて 複数の市民向けイベントにおいて、国外での受容の文脈をとりいれた近代日本大衆音楽史について講演した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際シンポジウムの主催、および国内学会におけるラウンドテーブルの主催によって、十分な研究成果を挙げることができた。フェレス氏を迎えたイベントは、多くの熱心な聴衆の参加を得、実りの多いものであった。これがきっかけとなって、フェレス氏とともに、2017年の国際ポピュラー音楽学会世界大会及びSociety for Ethnomusicology年次大会において、日本における「外来」音楽受容と国外における「日本的」音楽実践及び受容の共振を主題としたパネル・セッションを組織して応募することになった(前者は研究代表者がオーガナイザーとなり採択済、後者はフェレス氏がオーガナイザーとなり審査中)。当該学問分野における最も有力な国際学会に、本研究の主題に関わるパネルで参加することは、研究の遂行においてきわめて有益なものであることは疑いない。さらに、原田悦志氏をはじめ、本研究のテーマにとって決定的に重要な活動を行っている実践者とも十分な信頼関係を築くことができた。原田氏とは、次年度以降、研究と実践の双方にまたがる共同プロジェクトを立ち上げる計画をすすめている。 また、今年度半ばに、次年度前半にサバティカルを利用して、台湾大学大学院音楽研究所に滞在して研究を進めることが認められたため、次年度の研究の焦点を台湾及び東アジアに絞る方針を固めることができた。同機関は、トランスナショナルかつ学際的な音楽研究に関して、疑いなく東アジアにおける最高水準を誇っており、本研究の遂行において大きな利点となる。 以上のように、挑戦的萌芽研究の主要な目的である研究上のネットワーキングと、今後のより具体的な研究計画の設定の双方に関して、初年度としては十分な成果を上げられたと確信している。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度4月から9月には台湾大学大学院音楽学研究所に滞在して研究を行う。そのため、研究の地理的な範囲を、台湾を中心とする東アジア圏に集中する。日本統治期以来の同地の大衆音楽における日本の影響及びその特徴的な表象のあり方について検討を進めるほか、シンガポールやマレーシアも含む広域中華圏の文脈にも着目する。さらに、初年度に予備的な調査を開始した、台湾のカーニバル団体の調査も本格的に行う。これは、基本的にはブラジル北東部の音楽様式を用いているが、日本の演奏団体が指導的な役割を果たしており、また、台湾原住民のエンパワーメントを目的としており、日本もその重要な一部をなす横断的・越境的な文化形成を検討するうえできわめて興味深いテーマであると思われる。 さらに、6月末にはドイツで行われる国際ポピュラー音楽学会にパネルセッションで参加することが決定しているため、その準備を進めるとともに、ヨーロッパ圏における日本の大衆音楽の受容や日本表象についても実地調査が可能であると予想される。具体的には、中東欧地域の日本研究の重要な拠点の一つであり、音楽研究も活発なスロヴェニアのリュブリャナ大学を訪問し、同地で日本文化と音楽の双方の研究に携わるクララ・フルヴァティン博士と会談することを予定している。さらに、10月末の民族音楽学会でのパネル応募が採択されれば、北米地域の研究者とのネットワーキングと短期調査が可能となる。 2017年10月に日本に拠点を戻して以降は、研究期間の後半に相当することもあり、それまでの調査結果を総合して、学会発表や論文執筆を行うと同時に、それまでのネットワーキングの成果を活用した、より大規模な研究プロジェクトの計画を開始したい。
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Causes of Carryover |
購入予定の物品(タブレットPC)の決済が年度内に間に合わないことが判明したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
基本的には当初予定していた物品の購入に充てる予定であるが、必要に応じて旅費などに充当する可能性もありうる。
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] 踊る昭和歌謡2016
Author(s)
輪島裕介
Organizer
豊中市芸術文化センターウェルカムイベント
Place of Presentation
豊中芸術文化センター
Year and Date
2016-12-24
Invited
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