2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study of the representation of "Japan" in popular music in the world
Project/Area Number |
16K13183
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
輪島 裕介 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (50609500)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | ポピュラー音楽 / J-POP / 間アジア / 環太平洋 / エキゾティシズム / ローカル化 / グローバル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、インターアジアポピュラー音楽研究グループ大会(於・中国伝媒大学、北京市、6月10日)において、アフロ・ブラジル系の音楽を演奏する台湾のカーニバル団体の活動と、そこにおける日本の奏者の指導的役割について、二国間関係にとどまらない、また中心/周縁モデルを逸脱する文化と実践者の流通に注目して発表した。アジア各地(及び世界各地のアジア研究者)のポピュラー音楽研究者と学生が集まる会議において、非常に有効なネットワーキングを行い、7月には、同グループの次期代表であるLiew Kai Khiun氏を大阪大学に招いて講演会と学生によるワークショップを行った。そこでの対話にも触発され、K-POPと日本のアイドル文化の相互作用について、歴史的かつ同時代的に考察する論考を著した。また、以前からの研究主題である「演歌」について、特にその「座長公演」という上演形態について、東アジアの上演文化との関連において再考する報告を台湾で行い、論文として刊行した。本課題の研究によって得られた知見を大いに取り入れた一般向けの講演も複数行っている。 研究期間全体として、当初掲げた研究主題とは若干異なるものの、世界各地における日本のポピュラー音楽の受容とそこでの「日本」の表象について検討する、という基本的な主旨に合致する、十分な研究成果を挙げ得たと考えている。本課題は挑戦的萌芽研究であり、当初の研究計画からの若干の逸脱は不可避であり、むしろ研究の性格上望ましいものであると考えている。論文の刊行、国内外での口頭発表といった一般的な活動に加え、本課題の主要な目標として掲げた、世界各地の研究者とのネットワーク形成は、当初期待していた以上に果たすことができた。これを引き継ぐ、より具体的な研究課題として、「環太平洋・間アジア的視点から近代日本大衆音楽史を読み直す」を構想し、科研費(基盤C)に応募し採択された。
|