2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the description of the region in the modern era and the memory of "Heike Monogatari" - Focusing on surveys of regional historical literatures, historical relics and travel writing
Project/Area Number |
16K13191
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
久保 勇 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (10323437)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 郷土史 / 軍記 / 地域研究 / 文化資源 / 観光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,対象とする近現代と地続きとなる「近世」の問題について着手した。(報告「失われた千葉氏と語られる「千葉」―近世期をめぐって―」平成29年6月18日,於・立教大学)天正18(1590)年の小田原攻めにより下総千葉を本拠地とする千葉氏は滅亡するが,翌年に家康から妙見堂(金剛授寺)に200石の寄進状が与えられている。これは幕末に至るまで当地の人々にとって,かつてあった「千葉氏」の存在を保証する権威の「記憶」となっている(「妙見堂再建寄附帳」1859)。この「記憶」は,前年度に見通した,地域が中央や他の地域と相対化される契機(明治期おける行啓,共進会の開催等)に通ずるものを見いだすことができた。 また,篠原合戦(実盛首塚等)の史蹟と隣接する片山津温泉開発について,近世の大聖寺藩史から遡及し考究する調査にも着手し,近世に時宗が実盛塚を巡錫地として往還し,大聖寺藩がそれを歓迎していた史的状況等が明らかになっている。さらに,厳島神社(宮島)の源平史蹟の基礎的調査を実施し,江戸時代から軍記物語を積極的に参看し,「名所図」に描かれ続けていた当地の諸課題を明らかにし,今後の阪神間における源平史蹟研究に益する地誌等資料を収集している。 本研究で未了の研究活動を継続しながら,基盤研究(C)「近代「地域」の記述と軍記物語の享受をめぐる総合的研究―郷土史・平家伝説を対象に―」(H30~H32)において,本研究活動で着眼を得た軍記の「記憶」が想起あるいは人々に継承されていく権威的な事象に注目し,『西摂大観』(1911)を基軸に兵庫県域における調査活動,俊寛・安徳帝生存伝承等を有する鹿児島県硫黄島および「義経」伝承に関わる北海道平取町等を対象とする調査活動を展開していく。
|
Research Products
(1 results)